ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

新しい人生に挑戦し続ける夫の母

ふたり暮らし。新しい人生に挑戦し続ける夫の母。

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お通夜の席で

先日、夫のお祖母さんが亡くなった。

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99歳と高齢だったことで、葬儀は悲しみに包まれるというよりは、終始和やかな雰囲気で執り行われた。

 

お通夜の食事の席で夫が挨拶回りに席を外している時、義母が私に話し始めた。

 

「じつはね、来年あたりに海外に出ようと思うの」

 

義母の人生プラン

昨年、義母は都心の住み慣れたマンションを売り払い、急に海のそばのリゾートマンションに引っ越した。↓

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これまでの義母の生き方から、このリゾートマンションが終の住処になるとは思っていなかったものの、思いの外早くに次の場所を考えていることに驚いた。あと数年はここにいると思っていたのだ。

 

どこの国にしようかな…といくつか候補地を挙げて下調べをしていたそうだが、急に「カナダで医療の分野について学び、それを仕事にしたい」と思ったとのこと。

 

私の数少ない経験上、なぜか急に思いついたことというのはたいてい上手くいく。義母はきっとその夢を叶えるだろう、と思った。

 

「私ね、まだまだやる気が満ちてくるの」と義母は言った。すごい…!義母の何が羨ましいって、このやる気だ。やる気さえあれば、人はいくつになっても何でもできる。そのやる気を維持することが普通の人間には大変なのだけれど、義母はつねにやる気を漲らせている。たぶんあと50年くらい生きる予定なのだろう。笑
(ちなみに義母は70歳を超えている。)

 

急に思いついたプランとはいえ、じつは下地はすでにあり、義母は15年ほど前に、カナダで家具作りを学ぶ大学に通っていたのだが、そこを上位3名という成績で卒業したため、これから行く大学でそれがひとつの単位として加味されるとのこと。

 

もうひとつ、帰国してから通っていた大学(私は聴講生だと思っていたが、ちゃんと学生として通っていたらしい)では医療の分野を学んでいたのだが、そこも優秀な成績で卒業したので、同じ医療の分野ということで、こちらの成績も加味されれば、本来3年かかるところを、もしかすると2年で卒業できるかも…ということだった。

 

最短の2年で卒業できたとして、その頃には義母も70代後半だ。そこから新たな仕事を覚えてしかも外国で働きたいなんて、私のような凡人には考えられない思考回路である。

 

カナダは日本と違い、年齢を理由に落とされることはないらしく、「この歳になると日本で働き口を探すのは大変だけど、意欲さえあればカナダで働くことは難しいことじゃない」とのこと。

 

カナダには夫の妹が住んでいるので、「◯◯ちゃんがカナダにいるからですか?」と訊くと、まるで娘がカナダに住んでいることなんて忘れていたかのように、「えっ、◯◯?それは考えてなかったわ。大学は都市部にあるから◯◯の家とはだいぶ離れてるし、向こうに行っても関係ないわねぇ」と。

 

義母にとっては、自分の娘や息子ですら、他人(自分とはべつの人生を生きる人という意味で)なのだ。決して愛情がないわけではないけれど、それはあくまでも個人対個人の想いであって、子どもたちと自分の人生を混同させることはない。人にも物にも、執着も依存もしないのが義母という人間である。

 

義母にはいつも突拍子もない言動で驚かされてきたので、もう慣れてはいたものの、今回もやっぱり驚かされたのであった。笑

 

私の人生も尊重してくれる義母

葉月ちゃんは海外には興味ない?と訊かれ、ちょっと考えた。

 

海外ドラマは好きでよく観ているし、学生時代から英語は得意だったが、海外で暮らしたいという思いは持ったことがなかった。いっときバレエでオーストラリアに滞在していた時も、短期間だからなんとかやっていけた。まわりのみんなのように、長期のスカラシップを取ってきちんと留学したい!という強い思いはなかった。

 

私は便利で清潔な日本が大好きだし、礼儀正しくて親切な日本人がとても好きだ。日本の政治には思うところもたくさんあるものの、これからも日本で暮らしていきたい。転勤族の妻という、夫の人生にくっついてただ流されて生きるという今の生き方を、気に入っている。

 

私がそう言うと、義母は「うんうん。そうよね。それもいい生き方よね」と言ってくれた。義母は強固な信念を持っているけれど、他人にそれを押し付けたりすることは決してしないのだ。そこがまた、義母の自分軸の強さを表しているなと思う。

 

なぜか急に思いついたことは上手くいく

先述したように、私の数少ない経験上ではあるが、なぜか急に思いついたことというのはたいてい上手くいく。私はこれまでも人生の岐路をそうやって迎えてきた。

 

今の私は夫の人生にくっついて流されるままに生きているけれど、これは言わば、「次の思いつき待ち」の期間だと思っている。

 

義母ほど突拍子もないことは思いつかないと思うが、「これをしたい!」と思いついた時に義母のように即断即決できるよう、自分の生活をつねに整えておこうと思う。それは、大きな部分では細々とでも仕事を続けてお金を稼いでおくことであったり、小さな部分では断捨離を継続して身の回りをシンプルにしておくことだったり。

 

そして、日常のささいな「やりたいと思ったこと」をできるだけやるようにして、自分だけの人生を積み上げていきたい。