ふたり暮らし

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【愚痴】飲食店店員の愚痴

ふたり暮らし。飲食店店員の愚痴。f:id:asukaze827:20240812105839j:image

待ち時間を訊かれても答えられない

飲食店は遊園地のアトラクションのように所要時間が決まっているわけではないので、待ち時間を訊かれても答えようがない。現在お食事中のお客様次第ですとしか言えない。

 

ラーメン屋ならある程度予想がつくが、レストランの場合はテーブルによってまちまちだ。コース料理やアルコールを召し上がっているお客様には2時間程度で、それ以外のお客様には1時間でお声がけさせていただいているので、テーブルを片付ける時間なども含めて、質問に正確に答えるとするならば、「最長で1時間半待ち、最短時間はわかりません」だ。
(先頭でお待ちの方の場合。)

 

もちろん、普通に考えたら1時間半待ちになることはない。早い方は30分程度で食べ終わる。でも、うっかり待ち時間を答えて、その時間になっても入れないと結構なクレームになるので、こちらとしては答えたくないのだ。入店前のお客様はお腹が空いて気が立っているため、攻撃的な人がとても多い。

 

店長には待ち時間を自分の予想より多めに言っておけ、と言われたりするが、たとえば私の予想であと15分くらいであきそうな席があるな、と思い、保険をかけて「20分くらいです」と答えたとする。ところが予想以上にお客様の帰り支度が早く、10分で席が空いた場合。普通に考えれば「思ったより早く入れてラッキー!」と喜ばれる場面なのだが、先頭のお客様を呼びに行くといなかったりするのである。

 

後ろで待っている方もいるので、2回呼んでも現れなかったら2番目のお客様をご案内することになるのだが、後になって先頭に並んでいた方が戻って来た時に、「あなたが20分って言うからお買い物してたのよ!早く入れるならここで待ってたのに!」と怒られてしまう。

 

どっちにしろクレームを受ける可能性があるので、店員側としては待ち時間を訊かれたくないし、自分が客側なら訊いても無駄だと思っている。

 

席があいていてもすぐに案内できるわけではない

飲食店の勤務経験がないとわかりようもないので、この点について文句を言われるのは仕方のないことなのだが、レストランというのは、席があいているからといってすぐに次のお客様をご案内できるとは限らない。

 

ひとつの席があくと、レジをする人とその席を片付ける人が必要になるので、そこで2人取られることになる。ピーク時はそれだけで他の従業員に負担がいく。そして、外に並んでいるお客様よりも店内にいるお客様が優先になるため、片付けの途中で呼ばれたらそっちに駆けつけなくてはならないし、料理が出てきたら運ばなくてはならない。レジ担当者もレジが終わったらホールの業務に戻るため、ご案内が後回しになってしまうことがある。

 

それ以外に、ホールの業務にはゆとりがあっても、厨房が忙しすぎてまわっていなかったり、洗い場が間に合っていなくて食器がなかったりすることも多々あり、そういう時は新規のお客様は入れられない。店外で待たせてしまった時のクレームよりも、席について料理が遅かった時のクレームのほうが大ごとになるからだ。

 

店外にいる方は、あまりにも遅ければ怒りながらも諦めてほかの店に行ったりしてくれるが、一度店内に入ったお客様はまごうことなき「うちのお客様」となり、店内での不手際は本社へのクレームにもつながりやすい。逆に言えば、どれだけ店外で不満を持っていたとしても、店内で満足のいくサービスが受けられれば、お客様は帰る時には笑顔になっていて、リピーターにもなってくださる。

 

だから、外で待っている方よりも、店内の業務が優先なのだ。これは自分が外で待つ立場ではなく、店内にいる客側の立場になればわかると思う。料理が全然出てこない、呼んでも店員がなかなか来ない。なのに新規のお客ばっかりどんどん入れていたら、「なんなの、この店!」と思うのではないだろうか。

 

店員がわざと意地悪して外で待たせているわけではない、というのをわかってほしい。

 

「急いでいるんだけど!」と言われても…

ファストフードではない店に来て、「急いでいるんだけど!」と言う意味がわからない。そんなに急いでいるなら、レストランでのんびりごはんなんて食べてる場合じゃないのでは?ラーメンとか牛丼とか、サッと食べられるものはいくらでもあるのに、なんでうちの店に来た?

 

急いでいると言われても、こちらとしてはほかのお客様と同じ対応しかできない。順番通りにオーダーを伺い、オーダーされた通りに料理は出てくる。「急いでいると言われたので出来るだけ工程を端折りました」と言って生肉を出せばいいのだろうか。

 

シェフの手際の良さはいつでも同じだ。料理にかかる時間は短縮できないのだから、急いでいるならさっさとファストフードに行くべきである。あと、レジで急かせば急かすほど、とくに新人店員はミスをしやすくなり、結局遅くなるので「急いでいる」というセリフは言わないほうがお客様自身のためにもなる。

 

「窓際はあいてないの?」

ランチタイムなどのピーク時に来て並び、ようやく席に案内されたというのに、「窓際の席はあいてないの?」と訊く人、結構いる。思わず、「見りゃわかるだろ」と言いそうになってしまう。

 

窓際などの人気のあるお席は、予約が入っていない限り優先してご案内している。そこに案内されなかったということは、すでに埋まっているのだ。

 

そもそも、並んで待っていて、ひと組帰ってやっと店内に入れたわけなのだから、案内された席しかあいてないのはわかりそうなもんではないか。うちの店は窓際席がほかの席からも見えるので、埋まっているかあいているかは一目瞭然だ。「窓際の席はあいてないの?」と質問してくる意味がわからない。

 

一応こちらも気を使って、「窓際のお席があくまでお待ちになりますか?」と訊く。すると「そうします」と言うくせに、「ではもう一度外の待合椅子でお待ちになってください」と言うと「やっぱりここでいい」と言う。まさかこの混雑時に店内の席を占領しながら待てると思っていたのだろうか。

 

大き過ぎる身振り

うちの店は、個室以外の席には呼び出しボタンがない。そのため、店員はつねにお客様の様子を窺っている。まだオーダーの入っていないテーブルやアルコールを召し上がっているテーブルはとくに注意して見ている。

 

そんな中で身振り手振りの大きなお客様がいると超まぎらわしい。呼ばれた!と思って伺うと「あ?なに?」みたいな顔をされ、「あのお客様は身振りが大きいんだ」と思って油断していると、今度はほんとうに呼んでいたりして、「店員がすぐに来ない」とクレームになったりする。

 

ワインをお注ぎしている時にお客様の大きな手振りが当たり、お客様にワインをぶっかけちゃった!なんてことが過去にあったと聞く。身振りの大きなご本人にぶっかけるならまだしも、お連れの方にかかったというのだから、迷惑千万なおっさんである。こういう場合でも店側がクリーニング代を出さないといけないので、身振り手振りの大きな方は要注意人物なのだ。

 

身振り手振りは肩より下の位置でお願いしたい。

 

食事中なのにナイフとフォークを揃えるのはやめてほしい

これは店側の教育の問題だが、新人の子がやらかしがちなのが、まだ食事中のお皿を下げようとしてしまうことだ。食事中に「お下げしてもよろしいですか?」と訊かれると、お客様は急かされている気持ちになってしまうし、店側としては店員の無駄な動きが発生していることになり、混雑時はその効率の悪さが従業員同士の連携を乱してしまう。

 

でもこれはお客様側にも非があるといつも思う。

 

本来なら、ナイフとフォークを揃えて置いたら、それは「下げていい」という合図ではないか。慣れている店員なら「ナイフとフォークは揃えてるけど、まだ時折口に運んでいるな」と様子見をすることができるが、入って間もないバイトの子は常にやる気満々でやることを探しているため、その場の判断で下げに行ってしまう。それでお客様に文句を言われたり店長から小言を言われたりしているのを見ると、なんだかなぁと思う。

 

これは逆バージョンもある。

 

ナイフとフォークがハの字に置かれていたら、こちらはなかなか下げることができない。ソースや付け合わせのハーブまで綺麗に召し上がる方もいるため、「完食」の基準が人によって違うからだ。

 

「まだ食べているのに急かされた」
「食べ終わった皿をなかなか下げてくれず、次の料理が全然出てこなかった」

 

クレームはこのどちらもある。正直言って、やってられない。自分のテーブルマナーを振り返ってからクレームを入れてほしい。

 

空いたお皿やスープボウルはゴミ箱じゃない

最近、ラーメン屋に行くと「食べ終わった丼にゴミを入れないでください」という貼り紙を見かけるようになった。これ、ラーメン屋じゃなくてもやめてほしい。

 

「何がだめなの?」と言われることもあるが、家で洗い物をする時のことを考えてみればわかると思う。家族が鼻かんだティッシュや口拭いたティッシュをお茶碗や食べ残しのお皿に乗っけてたら、お母さんはどう思うだろうか?「残飯はどうせ流すし、べつにいいわよ」となる人はあまりいないと思う。

 

私は今のところ経験がないが、まれに気にしないお店もあるのかもしれない。でも多くの飲食店では残飯とゴミは分けている。洗い場にあるゴミ箱は残飯専用なので、ホール担当が下げた食器を洗い場の人に出す時は、ゴミを取り除いてからでないと出せない。ひどい時はティッシュや紙ナプキンがグラスにきちきちに詰め込んであったりして、一体どういうつもりなのかと怒りが湧く。あなたはこれを家でもやるんですか?とぜひ訊きたい。

 

テーブルの上でゴミが邪魔なのはわかる。お皿に乗せなくても、「捨ててください」と言ってもらえれば捨てるし、テーブルの端に寄せてあれば回収する。食べ終わったお皿に乗っけられてしまうと、濡れているお皿ならゴミがソースを吸って捨てにくくなるし、乾いているお皿だと持ち帰る途中で吹っ飛ぶ。

 

個人的には飲食店でやめてほしい行為No.1だ。

 

テーブルナプキンが用意されているなら、口はそれで拭けばいい。ナプキンが汚れることを気にされる方もいらっしゃるが、汚れていようがいまいが、一度出したナプキンは毎回必ずクリーニングに出す決まりなので、気にする必要はない。そのほうが卓上の紙ナプキンをやたらと使ってゴミだらけにするより、見た目は断然美しい。

 

ラストオーダー時間

日本はラストオーダー時間に厳しいなと思う。個人店はそうでもないが、チェーン展開している店だと、ちょっと時間前に看板の電気を消そうもんならすぐ本社にクレームがいく。

 

海外のレストランだとラストオーダー時間はあくまでも目安だ。店主の気まぐれで「今日はもう終わり」と門前払いを食らうことも珍しくないし、「入ってもいいけど、コーヒーマシンは電源落としたからもう飲めないですよ」「機械の洗浄を始めちゃったからフライパン料理しか出せないですよ」などと条件をつけられるのが普通だ。

 

日本だと、ラストオーダー時間5分前でも入店できてしまう。「まもなくラストオーダーですが…」とやんわり断っても、「大丈夫です!すぐ決めますから!」とか言われると断ることができない。あなたが大丈夫かどうかは訊いていない。「もうおしまいです」と言いたいけど言えないだけだ。

 

お客も店側のウエルカムじゃない空気はたぶん感じていると思うが、そこで引き返す人はほとんどいない。「だってあと5分あるし。ルール内なら問題ないでしょ?」と考えているからだ。
(おっしゃる通り、ルール内なので責められない。)

 

中には、ラストオーダー時間間際に入ってきて席を指定してくるツワモノもいる。

 

個室はすでに翌日の予約のセットをしてある場合が多いし、その他の席も翌日の営業に向けてカスターセットの補充などがあらかた済んでいる。そういった中で、後片付けがしやすく、お客が閉店時間を過ぎてもまったりすることがないようなあまり落ち着かない席を「この席はまだ使ってもOK」と決めていて、そこに案内している。それなのに「もっと奥がいい」「個室がいい」などと注文をつけられると閉口する。
(もう笑顔での接客はできない。)

 

「もう追加オーダーできないからいっぱい頼んどこう!」と、やたらとたくさん注文する人もいるが、その時間、多くの飲食店では厨房のシェフは1人だ。料理の提供が遅くなってしまったら、閉店時間を過ぎても追い出しにくいし、そのぶん厨房の後片付けも遅くなってしまう。日本のレストランでも、ラストオーダーで出せるメニューは店側で限定しておくべきだと思う。

 

「ラストオーダー時間ギリギリに入っても通常のお客様と同じように丁寧に扱ってもらえる」と思うのは日本人特有の感覚だし、それが日本のいいところでもあり、悪いところでもあるなぁと感じている。

 

空いたお皿をどうするか

これは今働いているお店ではほとんどないのだが、空いたお皿を重ねてもいいのかダメなのか、迷う人は多いと聞く。店員が重ねて運んでいるから重ねてもいいんじゃない?と言う人と、客が勝手に重ねるのは良くないんじゃない?と言う人がいるようだ。

 

前提として、空いたお皿をさっさと下げに行かない店員が悪いのだが、店員側としては、お皿を何枚も積まれるととても下げづらい。お皿の上げ下げは右手で行うのがサービスの基本なので、うず高く積まれた食器は両手があいた状態でわざわざ行ってよっこいしょ!と持ち上げなければならず、非常に見苦しい姿をお見せすることになる。

 

カジュアルなお店だと空いた器を重ねて寄せてくださっているお客様も多い。私も自分が客側の場合は重ねて寄せておくこともある。「下げてから次のを出す」が徹底されていないお店だと、自分で重ねておかないと次の料理を持ってきた店員が無理矢理隙間に置こうとしてくるからだ。

 

なので、重ねるのが絶対ダメというのではなく、2〜3枚までにしてほしいなと個人的には思う。居酒屋などではまた意見も違ってくるかと思うが。

 

とはいえ、そもそも空いたお皿をどうするか、というのは本来客側が考えるようなことではなく、お客様にそういう余計な気遣いをさせないようにサービスするのが店側の役目である。

 

店員と客は本来は対等な関係性

飲食店に限らずだが、店員と客は立場が違うだけで本来は対等な関係性のはずだ。客側が上なわけではない。接客業経験者が客側になった場合、店員を下に見る人はおそらくいないだろう。

 

商品の代金には、場所代と店員の人件費が乗せられているだけで、「懇切丁寧なサービス料」までは入っていない。

 

サービス料を取る高級店なら、その名の通り食事代以上の「サービス」を求めて当然だが、そうじゃない店なら「他人に対する丁寧な態度」であればそれでOKなはず。たとえお値段が高くても、それは場所代や食材費が高いからであって、サービス料込みなわけじゃない。

 

店員が懇切丁寧な接客をしてくれるのは、あくまでもその人の思いやりや気づかいによるものだ。対価が発生しているわけではないのだということを、心に置いといてほしい。

 

店員も人間なので、嫌だなと思う人には必要以上のサービスはしないし、気も利かせない。最低限の接客にとどめておく。逆にいいお客様にはできる限りの心づかいをしようと気を配るので、そこにサービスの違いが生まれる。横柄なお客は、必要以上のサービスを求めた結果、他の人より損をしているということになるのである。

 

私も客側になった時は肝に銘じている。