ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

旅行の思い出

ふたり暮らし。旅行の思い出。

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現実逃避でしかなかった旅

私たち夫婦は2人とも超インドア派だ。休日は家で過ごすことを好む。家で好きな音楽と好きなお酒でだらだら過ごすのが一番のリフレッシュになるのだ。

 

そんな私たちだけれど、以前は毎年のように行っていた宿があった。

 

それが千葉県館山市にある「森羅」というホテルである。昔は24時間ステイというプランがあり、海の見える部屋付き露天風呂と、スタッフがサーブに来てくれる完全部屋食が売りのホテルで、チェックインしたら部屋から一歩も出ず、一日中ただただひたすら海を眺めて過ごすことができる。

 

私が仕事をしていた頃は、まだ断捨離前だったので、今思えば家にいても心から寛げていなかった。一年に一度、ストレスが限界に達した頃に森羅に「逃げて」いたのだ。

 

あの頃は、日々の仕事と散らかった家の中に、気づかぬうちに相当ストレスを溜めていたのだと思う。頭をからっぽにして海だけをぼけーーーっと見て過ごすこの時間が、私たちにとってはなくてはならない大切な時間だった。

 

お風呂と食事以外はなにもやることのないホテルで、朝昼晩・夜中・明け方とほぼ1日中お風呂に入り、それでも足りなくて24時間ステイに加えていつも2時間のレイトチェックアウトを追加していた。

 

近くにはたぶん観光スポットもいろいろあったと思うし、大きなゴルフ場もあったので、チェックイン後に外出する人や、24時間ステイでなく普通の滞在プランを選ぶ人が多かったと思うけれど、私たちは26時間一歩も部屋から出ないで過ごしていた。
(需要がなかったのか、現在は24時間ステイプランは無くなってしまった。)

 

このホテルで過ごすことだけが旅の目的だったため、ホテルへの行き帰りも観光などはほとんどしなかった。千葉県の輪郭に沿って太平洋を見ながらドライブするだけ。それが、超インドア派の私たちが唯一ストレスなく行ける旅行だった。

 

明日からまた前向きな気持ちで毎日を過ごせるようにするための、メンテナンスのような旅。今よりもずっと若かったのに、隠居した老人のようにパッシブな夫婦だったと思う。むしろ世の中のご老人のほうがよっぽどアクティブな気がする。笑

 

観光でリフレッシュした旅

おととしの春、急に思い立って夫と金沢旅行をした。最初はどこか遠くにドライブ行きたいね〜と話していて、なぜか急に金沢に行きたくなってしまった。日本の古都を観光するなら、外国人観光客のいない今がチャンスだ。京都は無理でも金沢なら1泊で行ける!よし行っちゃおう!となった。

 

せっかく北陸新幹線も通ったというのに、わざわざ車で行くなんてどうかしてると周囲の人には言われたけれど、車で行く最大のメリットは、往復の道中に邪魔が入らないということだ。せっかくの旅行なのに騒々しい思いはしたくない。
(休日は言うまでもなく、平日は平日でお年寄りの団体旅行が多いのでどっちもリスクがある。)

 

観光を目的とした旅行は久しぶりだ。寝に帰るだけなので、宿は駅前のビジネスホテルで安く済ませた。ビジネスホテルといっても、金沢という土地柄か、伝統工芸品を思わせる素敵な内装のホテルだった。

 

金沢はコンパクトな観光地だ。10分だか15分おきだかに周遊バスが運行しており、それに乗ればほぼすべての観光スポットを周ることができる。地方の観光地は移動が不便なところも多い中、金沢は旅行者にとっては超便利。バスと徒歩で事足りるからタクシーも必要ないし、移動に時間がかからないので旅の満足度も高い。おいしいお店やおしゃれなお店もいっぱいあった。

 

桜と古都の風景は日本人のDNAを癒してくれる。来て良かったと心から感じた。

 

旅に行く理由

断捨離前と違い、断捨離してからは家で過ごす時間が最大のリフレッシュになっていた。ふたりで料理して、好きなお酒と音楽でのんびり過ごす休日。海の見えるお風呂はないけれど、森羅に逃避しなくても充分リフレッシュできる。これは仕事をやめた私だけでなく、夫も同じことを言うので、家を整えるということは想像していた以上に心身に影響があるのだなと思う。

 

家の居心地が良くなり、私たちはますますインドアになった。そして家でのんびりできるぶん、今度は金沢旅行の時のようなアクティブに出歩く旅が魅力的に思えるようになった。以前は「なにもしない」をしに旅行に出かけていたけれど、今は「なにかをしに」お出かけしたい。

 

季節を変えてもう一度金沢に行きたいな、とも思うし、次は神戸にも行ってみたい。さすがに車じゃ無理そうなのでそこだけがネックだけれど、たまには電車の旅もいいかもしれない。3泊くらいできたらいいな。