ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

声優というお仕事について思うこと

ふたり暮らし。声優というお仕事について思うこと。

キャラクターの魅力をより一層引き出してくれる声

洋画や海外ドラマを観る時、字幕派の人と吹き替え派の人がいる。私は長らくずっと字幕派だった。吹き替えにプロの声優ではない人が使われていると観る気が失せるからだ。

 

字幕のいいところは、多少聞き取りづらい環境だったとしてもストーリーを追うのに困らないことと、短い言葉に込められた翻訳家の言葉のセンスが垣間見られることである。

 

でも数年前にある作品に出会い、それ以来、選べる場合は吹き替えを選ぶようになった。

 

 

その作品とは、Amazonオリジナルドラマ「まほうのレシピ」である。

 

 

子ども向けのドラマだけれど、大人でも十分に楽しめる。私が最初に観た時は、まだ字幕版と吹き替え版があり(現在は設定で変えられる仕様になっている)、たまたま吹き替え版を観はじめてしまった。

 

「あ、吹き替えか!しまった」と一瞬思ったものの、とりあえず主演の3人の女の子たちはプロの声優さんが担当しているようだったので、そのまま1話だけ観ようと思った。そうしたら予想外に面白く、結局そのまま何話も続けて観てしまった。

 

登場するキャラクターは全員とても魅力的だけれど、とくに私は3人のうちの一人、ハンナのことがとても好きだ。たぶん、日本人ならほとんどの人がハンナ推しになると思うくらい、ハンナはとってもとってもいい子なのだけれど、ハンナのキャラクターをより一層魅力的に見せてくれているのが、ハンナの声を担当する田中真奈美さんである。

 

ハンナの持つ、女の子らしさ、几帳面さ、優しさ、思いやり、センスの良さ、などなど…それら様々な彼女の美点が、田中真奈美さんの声でさらに引き立てられていて、ハンナから目が離せなくなってしまった。

 

この作品は私の「リピートライブラリ」に入っているため、これまで全編通して何回も観た。観るたびにハンナのことが好きになっていき、新しい魅力に気づく。役者ご本人の声ももちろんいいのだけれど、私はこの作品においては吹き替え派だ。それくらい、声優さんたちの演技が素晴らしい。

 

吹き替えのいいところは、役者さんの一瞬の表情をも見逃さなくてすむことだ。海外の俳優さんは表情演技が巧みなので、くり返し観ているうちに、ちょっとした表情の変化によって語られる背景が、より深く理解できるようになったと思う。

 

キャラクターに命を吹き込む声

もう何年も前、夫が読んでいた漫画をちょっと見せてもらったことがある。それが「干物妹うまるちゃん」第1話で、ぶっとんだ設定と可愛いキャラクターが印象的だったので、ちょっとしか読まなかったのになんとなく覚えていた。

 

ある日、アマプラビデオでめぼしい物はないかな~と物色していたところ、うまるちゃんのアニメがあったので、何の気なしに観てみた。そうしたら一気にハマってしまった。

 

うまるちゃんを知らない人には説明が難しいのだけれど、うまるちゃんは、ちびキャラとスタイル抜群の美少女キャラが頻繁に入れ替わりながら話が進んでいく設定だ。どちらも同一人物でありながら、その性格や見た目は180度違う。

漫画で描き分けるのは容易だけれど、これを人が演じるのはとても難易度が高いだろうな、と思った。

 

ところが、アニメの第1話で、美少女うまるちゃんが学校から帰宅してドアを閉めてちびうまるちゃんになった瞬間、それまでとは全然別人の声が聞こえてきて、声優さんってほんとすごい…と思った。

 

その後も、ちびうまるちゃんがお兄ちゃんに学校での様子を話しているシーンがあるのだけれど、セリフの途中でとても自然に美少女うまるちゃんの声に移って行ったと思ったら、またすぐに戻ってきたのを聞いて、またまた感心してしまった。

 

ぶっとんだ設定の、人間が演じ分けるのがとっても難しそうな漫画のうまるちゃんが、まさに声優さんによって命を吹き込まれた瞬間だと思った。
(そんな大げさな、とか言わないでほしい。)

 

うまるちゃんを担当するのは田中あいみさん
私はアニメはまったく詳しくないのだけれど、有名な方なのだろうか?主題歌もこの方が歌ってらっしゃり、当たり前だがものすごくお上手だ。

 

ここ何年も、美少女アニメやスマホゲームの萌えヴォイスには正直辟易している。どのキャラクターもどっかで聞いたような同じ声ばかりで個性が感じられない。これは男キャラにも当てはまることだけれど。
(実際、同じ人ばかり使われているのだろうか?)

 

田中あいみさんのように、自由自在に声を変化させられる声優さんには多くの活躍の場があってほしいと願う。