ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

「コミュ力の高い人」

ふたり暮らし。「コミュ力の高い人」。

世間話の鉄板ネタが苦手

私には、親しくない人にされたくない質問が3つある。

① 趣味
② 休日の過ごし方
③ 学生時代に入っていた部活動

どれも世間話の鉄板ネタだ。人と人が知り合った時、必ずといっていいほどこの3つが話題にのぼる。

 

でも、私はこれらの話題はできるだけ避けたい。世間話の鉄板ネタとはいえ、この3つの話題は相手のプライベートな部分に大きく踏み込むような話題だと感じてしまうのは私だけだろうか?

 

私の趣味は、読書と音楽とお酒を楽しむことである。

 

「趣味は読書」と言うと、次は必ずこう訊かれる。
「どんな本読むんですか?」「最近は何を読みました?」

 

本棚を見ればその人の趣味嗜好がわかると言われているが、その通りだと思う。好きな本というのは、とてもプライベートな分野だ。多くの人がそう思うからこそ、人前で本を読む時にブックカバーをつける人が多いのではないのか。
(汚れ防止という意味合いも大きいかもしれないけれど)

 

自分の好きな本や好きなジャンルを、おいそれと親しくない他人には教えたくない、と思う私はおかしいのだろうか?

 

 

音楽とお酒については、言いたくないわけではないのだけれど、あまり共感してもらえず相手に気を使わせてしまうのが面倒で、できれば避けたい話題である。

 

私の好きな音楽は主にクラシックとジャズで、夫以外の人と音楽の話題で盛り上がった経験がない。好きなお酒はワインで、炭酸が苦手なのでビールやサワー系などが飲めない。つまり邦楽は普段まったく聴かず、飲みたいお酒がないので居酒屋にも行かないのだ。でもそれを言うと場を白けさせてしまう。

大人になってからも訊かれる、学生時代の部活動

私は学生時代、部活をしていない。正確に言えば、中学では名前だけ所属していた部活があるのだけれど、完全な幽霊部員だったので、とても「部活をやっていた」とは言えない状況だ。

 

なぜやっていなかったかと言えば、バレエを習っていたからだ。厳しい教室だったので毎日レッスンがあったし、日焼けは厳禁、下手に跳んだり走ったりしてよけいな筋肉をつけることはご法度だった。
(自転車に乗ることさえ、いい顔をされなかった。)

 

でもそれをあまり親しくない人に説明するのは面倒だ。今は昔と比べてバレエを習っている子が多くなったとはいえ、私の世代ではまだまだ珍しがられるし、それが中学で部活をやらないほど優先してやっていたとなると、そこをいろいろ突っ込んで訊かれることが多い。

 

 

大人になってから知ったことだが、学生時代の部活動経験の有無というのは、どうやら社会に出てからも重要らしい。

 

昔、バイトの面接でも訊かれたことがある。ごく普通の飲食店だったのだけれど、学生時代に運動部に所属していた子は、チームワークが取れて根性もあって元気で明るくて…というような話を店長さんにされ、思わず鼻で笑いそうになった。

 

「ひとつのことを長く続けてきた経験がある子は、バイトも簡単にやめないからね」

 

大学生がお小遣い稼ぎのためにやろうとしているバイトを、半ば強制的で簡単にはやめられなかった学生時代の部活と同列に語るのはなんか違う気がする。ましてや運動部と文化部で区別するなんておかしな話だと思う。
(バレエを30年以上続けてきた私だって、嫌になったらなんでもすぐにやめるのに。)

 

楽器ケースの中身を教えてくれなかった女の子

何年か前、パート先に新しく入ってきた大学生の女の子が楽器ケースを背負って来ていたので、みんながその子にいろいろ質問をしていた。

 

「音大?どこの音大?」
「なんの楽器やってるの?」
「いつから音楽やってるの?」

(そばで聞いていた私がハラハラしてしまうくらい、みんなの教えて圧が強かった。)

 

ピアノと違い、弦楽器を習っている人はそうそう身近にいない。それが音大レベルとなれば、「ちょっとやってた」程度ではないと想像がつく。世間一般では、バレエと音楽はお金のかかるイメージが強いようで(実際その通りなのだけれど)、習っているというと勝手に特別なイメージを持たれてしまうことが多い。

 

想像でしかないが、その子もきっと、音楽をやっていることで周囲の人たちから良くも悪くもいろいろ言われてきたのだろう。できれば音楽についての質問は避けたいと思っていたのだと思う。

 

その子は何人もの子に囲まれて質問攻めに合った末、

「学校のことはもう訊かないでください!」

と言ってその場を凍り付かせていた。笑
(えらい!よく言った!!と思った。)

 

聞き上手=コミュ力の高い人、ではない

よく、人とのコミュニケーションは聞く側にまわれ、と言われる。人は話したい生き物だから、と。

 

そうかなぁ?とへそ曲がりな私は疑問を持つ。少なくとも、私は自分が話すよりも聞き手にまわるほうが気が楽だ。話し好きな人と一緒にいるとホッとする。

 

逆に、周囲から「コミュ力高いよね」と言われている人と話すのは構えてしまう。コミュ力の高い人は、相手の懐に入り込むのが上手だ。そしてとても聞き上手で、いろいろな話を引き出してこようとする。こちらが距離を保とうとしても、ぐいぐい近づいてくるので困ってしまう。

 

聞き上手な人が必ずしもコミュ力が高い人とは、私は思わない。私みたいな人間からしてみれば、相手の話を引き出そうとするよりも、一方的に自分の話をし続けてくれる人のほうがありがたい。

 

 

 

Twitterでキャバ嬢のこんなツイートを見たことがある。

夜職の女性にとって一番厄介なのは、下ネタやセクハラまがいのことをしてくるお客さんじゃなくて、にこにこしながらこっちの話を引き出してこようとする人。つい心を許してしまい、うっかり本当のこと(名前や年齢、大学名など)をしゃべってしまうことがある。

 

うん。すっごくわかる。