ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

台布巾ジプシーからの脱却

ふたり暮らし。台布巾ジプシーからの脱却。

たかが台布巾、されど台布巾

夫と暮らし始めて17年が経つ。だから台布巾ジプシー歴も17年だ。この度、ようやくその歴史に終止符を打つことができた。

 

これまでに私が処分してきた台布巾の枚数はどれくらいだろうか。すべて繋ぎ合わせれば、余裕で布団が一枚縫えるくらいの枚数は無駄にしてきたと思う。

 

マイクロファイバーのもの、綿100%のもの、もこもこしたもの、けばけばしたもの、ぺらぺらしたもの、とにかくいろんな種類の台布巾を試してきた。そしてそのたびに「あぁこれもダメかぁ…」とがっくりする。

 

台布巾への私の希望はごくごく普通だ。吸水性が良く、丈夫で、乾きやすいもの。なのにこれらを満たしてくれる台布巾となかなか出会えない。

 

どれも使い始めはいいものばかりなのだ。でもしばらくすると、吸水性が衰えたり、汚れが落ちなくなったり、糸がたくさん出てきたりして処分するはめになる。実家ではどんなの使ってるっけなと思って確認してみると、吸水性が悪く、糸がびろびろに出た乾きが遅いものを使っていて、全然参考にならなかった。今時そんなのどこに売ってるんだというレベルである。

 

さまよった末にたどり着いたもの

愛好者にお叱りを受けそうだけれど、現在わが家では、フェイラーのミニタオルを台布巾として使っている。

 

もちろんはじめはそんなこと考えもしていなかった。高級タオルだと知っていたし、柄も可愛いものばかりだ。台布巾代わりにしようだなんて夢にも思っていなかった。けれどある時、タンスの引き出しに眠るミニタオルたちを見て、「この子たち、全然出番がないな」と思ったのである。

 

私は普段、ハンカチではなく使い捨てのペーパータオルを持ち歩いている。フェイラーの生地は厚みがあって嵩張るし、私のお出かけスタイルには合わないのだ。自宅でお手拭きに使っていたこともあったけれど、子どもじゃないのでお手拭きが必要なことってあまりない。すぐに使わなくなった。

 

以前の仕事でちょっとしたお礼としていただく機会が多く、どうにかして活用したいと思って思いついたのが、台布巾だったのである。

 

使ってみると、これがものすごくいい。さすがのフェイラー。私の希望をすべて満たしてくれている。とにかく丈夫で吸水性が良い。台布巾として使用し始めて1年以上経つけれど、吸水性は衰えず、毛羽立ちもまったくない。毎日ヘビーに使用し、洗濯機でガシガシ洗っていてもほつれひとつ出てこない。素晴らしい。

 

何より、可愛い柄やおしゃれな柄は使っていて気分が上がる。どれもさすがに色褪せてはきたものの、そんなことはまったく気にならないほど使い心地が良い。きっとこれから先もずっと使えるものだろう。いくら高級タオルとはいえ、毎日これだけ使っていたらとっくに元は取れている。

 

残ったタオルは未だ観賞用

台布巾として活路を見出したミニタオルたちだけれど、引き出しの中にはまだ眠っている子たちもいる。

 

台布巾にするにはサイズが大きいものや、外国のお土産などの地域限定品は、使ってあげたいけれど使い道の思いつかないものたちだ。これらは今のところ完全に観賞用になっている。

 

その話を母にしたところ、「なんですぐパッケージを開けちゃうの。そのまま飾っておけばいいのに」と言われた。たしかに、母の部屋にはパッケージに入ったままのフェイラーのタオルが飾られている。パッケージ自体が、柄が素敵に見えるようなデザインなので、まるで額縁の絵を飾っているかのようにも見える。

 

パッケージや梱包材の類は秒でゴミ箱に葬りたい私は、母がパッケージのままストックをしまっているのをいつもモヤモヤとした気持ちで見ていた。でも、このことで初めて母のやり方に羨ましさを覚えたのであった。笑