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【葬送のフリーレン】大人の心にグッとくるヒューマンドラマ

ふたり暮らし。【葬送のフリーレン】大人の心にグッとくるヒューマンドラマ。

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よくある冒険ファンタジー…ではなかった

最近よく、夫のお勧めアニメ「葬送のフリーレン」(Hulu)を観ている。

 

ファンからしてみれば今更だと思われるだろうけれど、私もタイトルだけは以前から知っていた。たぶんアニメ化にあたり、あちこちで広告を打っていたからだろう。普段テレビを観ないので、また新しいスマホゲームが出たのだと思いこんでいた。

 

夫には、「私にお勧めする時には、先に全編観て、グロすぎないこと・萌えを全面に出してこないこと・後味が悪くないことを確認してからにしてね」と言ってある。この葬送のフリーレンは私的に大ヒット。久しぶりにリピートライブラリに追加されたアニメである。

 

物語は、RPGの世界観の中で、魔王を討伐した勇者一行のその後の人生を描いている。よくある冒険ファンタジーものかと思っていたが、そういうわけではなかった。

 

原作は少年サンデーで連載されているそうだけれど、少年サンデーの購買層ってどの世代なのだろうか。「少年」ってついているから10代…?

 

私の個人的な感想では、この作品は10代20代の若い人の心にはあまり刺さらない気がする。刺さらないどころか、つまらないと感じる人もいるかもしれない。これはいろいろ人生経験を詰んだ大人の心にこそ響く物語だと思う。

 

世界観はRPGなのでRPG用語は随所に出てくるものの、物語そのものは人間模様を掘り下げながら進んでいくため、RPGにまったく触れてこなかった人でも話についていけないということは全然ない。人との触れ合いを積み重ね、フリーレンの心が成長していくさまを描いた感動作だ。

 

声優さんの進化

夫が勧めてくれるアニメは私も好きになることが多い。フリーレンの前は SPY×FAMILYだった。そしてアーニャとフリーレンが同じ声優さんだと教えられた時には超びっくりした。どんなに意識して耳を澄ませて聞いてみても、両者には全然共通点がない。すごい…!

 

 比べるのはどうかと思うけれど、たとえば少し前の時代の、マスオさんやサトシや悟空の声は、全然違うキャラクターの時でも声優さんが誰だかわかる。

 

どこで誰が聞いても「あの人の声だ!」とわかってもらえるのが声優としての大きな強みだと思っていたけれど、特定のキャラで認識されることなく、変幻自在に声を操って多くのキャラクターを演じ分けられるのは、これからの時代はとくにものすごく強みになるのかもしれない。

 

だって、そういう人がいないと、そのうち声優さんの演技を模倣したAIに取って替わられてしまいそうだから。

 

原作ファンはアニメをどう見ているのだろうか

葬送のフリーレンの原作ファンは、アニメ化されたフリーレンを観て、どのように感じたのか興味がある。想像と違ったか、それとも想像通りか、あるいは想像のはるか上だったか。

 

表情が乏しく、ボソボソとしゃべるフリーレン。これを生身の人間が演じるのは素人目に見ても超難しそうだとわかる。アニメではただの棒読みは許されない。漫画ならば、その絵から「表情や感情が乏しい」と読者は感じ取ることができるけれど、動くアニメになったらただの棒読みは「何この人。下手…」と一瞬で現実に戻されてしまう。

 

アニメのフリーレンは、ボソボソしゃべっているのに決して棒読みじゃない。その声の向こうに、ちゃんと感情の起伏があるのが感じ取れる。そしてフリーレンだけでなく、他のキャストにもいえることだけれど、淡々と静かに話しているのに心を掴まれる声と話し方なのだ。声優さんたちの技量がすごく高いと感じる。

 

新しい時代の勇者に、大人はやっぱり勇気づけられる

「君は苦しくてつらい旅がしたいのかい?僕はね、終わったあとに、くだらなかったって笑い飛ばせるような、楽しい旅がしたいんだ」

魔王討伐に向かう勇者ヒンメルのセリフだ。努力と根性と忍耐が美徳とされたひと昔前の物語だったら、勇者はこんなことは言わない。

 

人生は笑って楽しんだもの勝ち。

 

ヒンメルは中年以降の大人世代にとっては新しいタイプのヒーローであり、新しいながらも、「本当は自分もこうありたいんだ」と共感できるヒーローでもあるのだ。知れば知るほどヒンメルのことが好きになる。そしてそれはイケメンだからという理由ではない。

 

このアニメにはほかにも深いセリフがいっぱいある。やはり、若い人よりも大人世代にグッとくる作品だと思う。

 

私は気に入ったものは人が引くくらいリピートする性格だけれど、このアニメはぜひともリピートすることをお勧めする。1度目より、2度目3度目のほうがセリフに胸を打たれるし、声優さんたちが想いをこめて演じているのが伝わってくる。1度目では見逃していたような細部への理解も深まり、胸が熱くなる。

 

近いうちに原作漫画も読んでみたい。