ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

初出勤

ふたり暮らし。初出勤。

出勤前から達成感

いよいよ、初出勤の日が来た。じつはこの日を迎えるまでが大変で、社内のオリエンテーションが数回に、空港の税関講習というのも受講しなければならず、ちゃんと時給は発生するとはいえ、非っ常ーーーーーーーーにめんどくさかった。面接→合格→「じゃ、明日から来れる?」みたいな流れしか経験がなかったので、求められることの多さに辟易し、「もう辞退しちゃおっかな…」と何度も思った。

 

でも私は、自分が「やってみよう!」と決めたことがすんなりできる運びになった時というのは、それが「自分にとって必要な経験」であり、「自分で決めて来た道」なのだと考えているため、ここで放り出すのは違うなと思い、まあまあ愚痴を言いながらだが、なんとかここまでたどり着くことができた。まだ出勤前だというのに軽くやり切った感がある。

 

笑顔の有効期限

基本的な仕事内容は普通の飲食店と変わらない。違うのはお会計がないことぐらいだ。あとはシャワーやマッサージ、仮眠室の予約などが業務としてはあるが、とりあえず最初のうちはそれらはすべて社員につなげばいいと言われているので、初日はそこまで大変なことはなかった。

 

ただ予想はしていたが、お客様から質問される内容はフライトに関することが多い。しかも英語を話すお客様の全員が英語を母国語としているわけではないので、訛りの強い英語は聞き取れず、社員の方に完全に丸投げする形になってしまった。丸投げされた社員の方は「問題ないですよー」と笑顔で言ってはくれたが、この笑顔にはどのくらいの有効期限があるのだろうか。次もその次もそのまた次もそのまた次もそのまたまた次も、丸投げした私に笑顔を見せてくれますか…?

 

私たち新人は実習中バッジをつけているのだが、その同じバッジをつけている女性がスムーズにお客様の対応をしていたので、実習期間中にあんなふうにできるようになるもんなのかと疑問に思い、帰りにロッカーで訊いてみた。そうしたらその方は若い頃に地上職をしていたそうで、知識も英語力もとくに不安はないとのこと。「葉月さんもすぐ慣れますよ〜」なんて励ましてもらったが、地上職経験のある実習生に言われても慰めにはならない。笑

 

同じ日にオリエンテーションを受けていたインドネシア人の女の子は、早くもめげそうな様子である。バイト自体が初めてなのだそうで、日本語が難しいと社員のDさんに泣きついていた。Dさんも「大丈夫!すぐ慣れますから〜」と励ましていたが、日本生まれ日本育ちのDさんに言われても、これもまたなんの慰めにもならなそうである。

 

社員の方々の笑顔の有効期限が切れる前に、あの子も私もどうにか成長しなければならない。

 

職場の雰囲気は暖かい

まだ初出勤から数回しか働いていないが、外国人従業員が多いせいか職場の雰囲気はとてもフレンドリーだ。じつは私はこの点がちょっと不安だった。ラウンジで働くと決まった時、昔の友人の言葉を思い出したのだ。

 

その子は空港内のレストランでバイトをしていて、お昼時になると空港で働く職員がいっせいにランチを食べに来るのだが、日本の航空会社の赤と青とでは社員たちの雰囲気がまったく違うと言っていた。

 

一方は社員みんなが仲良しで、大勢で一緒に食べに来て、たまたまそこにべつの同僚がいたりすると「あ〜◯◯さーん!こっちに来ないー?」などと言ってどんどん人数が増え、8名がけのテーブルに多い時は12〜3名で肩を寄せ合って仲良くごはんを食べていたという。

 

方やもう一方の社員たちはなんとなくギスギスしていて、案内した席の近くに同僚を見つけると、「あっちの席がいいんですけど。怒」と言って近くには座りたがらなかったり、店の中で同僚と会ってもお互いに声をかけ合うこともなかったのだそう。
(でも飲食店側としては、どんどん人数が増えてうるさくなる人たちよりは、ひとりで静かに食べてさっさと出ていってくれる人たちのほうがありがたい。笑)

 

友人は、「私がもし航空会社で働くなら、絶対に赤(青)は嫌」と言っていた。

今の職場はみんな仲が良さそうだ。私は大勢で和気藹々するのが好きじゃないのだが、みんなフレンドリーでありつつ、余計な干渉もしてこないので居心地は悪くない。たぶん日本人のほうが少ないからだろう。マイノリティはある意味楽なポジションでもあるので、私には合っている職場なのかもしれない。

 

まだまだ新しい人生は始まったばかり。忙しくなる年末年始までには、ちょっとは使える存在になれるようにがんばろう。