ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

日本の四季を味わうお酒

ふたり暮らし。日本の四季を味わうお酒。
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サントリー『六 ジン』

私がワイン以外で唯一、時々無性に飲みたくなるのがサントリーのジン「六」である。

 

もともと、ジンのような爽やか系のお酒はほぼ飲まない。炭酸が飲めないため、ジンソーダなどの爽快感を味わうお酒に馴染みがないからだ。でもこの六だけはべつで、ジン特有の爽やかさとスパイシーさに加えて、ほんのり桜の風味を感じられるとても品のある味わいに心をぐっとつかまれている。

 

六には、ジンの定番スパイス8種のほかに、和の植物6種が使用されている。

・桜の花
・桜の葉
・煎茶
・玉露
・山椒
・柚子

 

口に入れた瞬間はピリッとした刺激を感じ、そのあとに柚子を始めとした柑橘系の爽やかさが追ってきて、その他のスパイスが混ざり合った複雑な風味の上に、ふわっと桜の甘みが覆いかぶさっている。ジンといえばジントニックだが、これはトニックの甘みを混ぜたらもったいない。ストレートかロック、少量の水割りで味わいたいお酒である。

 

引き合わせてくれたのは思い出のバー

この『六』と引き合わせてくれたのは、あの思い出のバーである。↓

asukaze827.hatenablog.com

 

夫もそれまではジンを飲むことがほとんどなかったため、マスターが最初に勧めてくれた時、「うーーーん。ジンか…」と迷っていた。当然マスターはそれ以上無理に勧めることはなく、その時は違うお酒をオーダーしたのだが、マスターが私たちの前に置いてくれた六のボトルがとても素敵だったので、私は興味を持った。

 

透明な六角形のボトルと、和紙を思わせる質感のラベルにシンプルな筆書きの六。ボトルの部分には使用されている6種の植物の絵が彫られており、バーのダウンライトに照らされて、中の液体がゆらゆらときらめいていた。

 

私が興味を示しているのを見て、マスターは「試してみますか?」と控えめに訊いてくれた。ジンはあまり得意じゃないけど、ちょっとこれは飲んでみたい。炭酸が飲めないと伝えると、マスターはごく薄めの水割りで出してくれた。今の私が好む濃さよりもだいぶ薄かったと思う。それでも充分桜の風味とスパイスの風味を感じられた。添えられたライムを絞ると、ライムの爽やかさによって桜の甘みが一層引き立てられ、これもまたとてもおいしい。ジンと合わせがちな油っぽいおつまみよりも、シンプルな和食に合うお酒だ。むしろ、おつまみ無しで舌先でゆっくり味わうのが正解かもしれない。

 

自宅ではぜひワイングラスで

味わいの良さもさることながら、その香りもまた、私の知っているジンとはちょっと違った。柑橘系の爽やかさと甘さに、六の特徴である桜の香りを上品に纏っている。薄めの水割りなのに、口にするたびにふわあっと鼻を抜ける香りがとても心地よかった。

 

マスターは、「いい香りですよね。メーカーさんは専用タンブラーも出しているので推奨してないですが、もしご自宅で飲まれるなら、私はブルゴーニュグラスをお勧めしてるんです」と言って、ワイングラスに少量ついでくれた。グラスを鼻先に近づけると、本当だ、普通のグラスよりもずっと華やかに香る。お酒というよりアロマに近い。香りだけで脳が幸せを感じている。

 

あの日のマスターのアドバイス通り、我が家でこれを飲む時はブルゴーニュグラスで飲んでいる。日常的に飲むにはちょっとお高めなのでそうそう頻繁には買えないが、ちょっと特別な日のお酒にぴったりだ。ジンを飲み慣れていない人や苦手な人でもおいしく感じられると思う。騙されたと思ってぜひ試してみてほしい。

 

桜の風味が特徴の六だが、ジンはジン。これからの季節にもっともよく合う。これを飲みながら枝豆と新生姜で夏を味わうのが今から楽しみだ。