ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

この世界の片隅で

ふたり暮らし。この世界の片隅で。
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煙草のポイ捨て

最近では、都会の街中で路上喫煙を見かけることはほぼなくなった。喫煙者には悪いが、そもそも他人のいるところで添加物だらけの有害物質をまき散らすなんて自己中の極みである。密閉された空間で、吐き出した煙も全部自分で吸うなら好きなだけ吸えばよい。

 

今住んでいるこの街は未だに路上喫煙が禁止されていないらしく、歩き煙草をしている人が多い。それ自体は咎められないので仕方ないのだが、問題はポイ捨てするおっさんの多さである。前を歩いている人が煙草を吸ってんなーと思って見ていると、高確率でポイ捨てする。あんなジジイでも人の親だったりするのかもと思うと、ぜひ独身であってほしいと願う。

 

私ひとりの時は、ポイ捨てしたジジイに後ろから怨念を送るぐらいしかできないのだが、うちの夫はそういうのは黙っていられないタイプなので、追っかけていって注意する。バツが悪い顔で拾いに戻る人がほとんどだが、たまに無視する人もいる。

 

先日も私たちの目の前でポイ捨てしたジジイがいたので、夫は注意した。でも無視された。そのジジイはすぐ先のコンビニに入っていった。べつに追いかけたわけではなく、私たちも用があったので同じコンビニに入っただけなのだが、追いかけられたと思ったらしく、「つけてくるな」と怯えた顔で言われた。「つけてませんけど」と私が言った時、私たちは入り口を背に立ち、おっさんはレジ前でこちらを見ている状態だった。逃げ道を塞がれたと思ったのだろう。おっさんはレジの人に「この人たちにつけ回されている」と訴えたのである。

 

夫がレジにいた外国人の店員さんに、「この人が店の前で煙草ポイ捨てしたから注意したけど、べつにつけ回してないです」と言うと、店員さんは「ポイ捨てしないでください」とおっさんに向かって言い、味方を作ることに失敗したおっさんはそのまま無言で店内をぐるっと周り、何も買わずに出ていった。

 

「吸っていい?」と訊く小賢しさ

ミニマリストしぶさんは嫌煙家だ。

 

飲み会の席で、「煙草吸っていい?」と訊かれたしぶさんは、「吸ってもいいけど、そしたら僕は帰ります」と答えたそうだ。「あなたが吸うのは自由。煙草が嫌いな自分がその場から離れるのも自由」という考えからの発言だ。相手はきっと、そんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。結局その場では煙草を吸うことはなかったが、その後その人としぶさんが一緒に飲むことはなくなったそうだ。

 

私も喫煙者の人に「吸っていい?」と訊かれた経験はある。そういう時、訊いてくるほうは断られるとは思っていないのだ。だから「吸っていい?」と訊きながらすでに手は煙草に伸びている。どうせ吸うんだから何も訊かずに吸えばいいのに、自分が配慮のない人間と思われたくないから相手に許可を求める風を装うのだ。多くの人はしぶさんのようにはっきり断れないので、「いいよ」と言わざるを得ない感じになるのが喫煙者の小賢しいところである。

 

こんなのは配慮を装っただけのただのエゴである。ほんとうに相手に配慮する気があるなら最初からその場では吸わないはずだ。「禁煙じゃないんだからいいだろべつに」と思うなら、最初から何も訊かずに吸えばいい。それによって周囲の人に「この人配慮がないなぁ」と思われる可能性があることも甘んじて受け入れるべきだ。

 

灰皿掃除

職場によっては、従業員の灰皿の掃除を非喫煙者にも持ち回りでやらせているところがある。飲食店なんかだとバイトの高校生にもやらせていたりするが、それってどうなのだろう。灰皿の掃除は吸っている人だけで持ち回りでやるべきではないのか。

 

昔働いていた飲食店では、従業員用の灰皿が事務所にあって、その掃除がバイトの仕事だった。一度、バイトの男の子がそのことに不満を訴えたらしく、厨房の社員のひとりが、「そんなこと言うならお前の賄いは作らねぇぞ」って言ってやったんすよ!と私に報告してきたことがある。でも私はそのバイトの男の子と同意見だったので、思わず「賄いと灰皿掃除を同列に語るのはおかしくないですか?じゃあ私は賄いを食べていないのでやらなくていいってことですよね?」と返してしまった。
(賄い付きという条件はバイト募集の項目にも入っている。)

 

以前も書いたが、私は基本的に職場で猫をかぶっているため、その厨房の社員は私に反論されるとは思っていなかったのだろう。びっくりした顔をされた。小さなお店だったので、遅番のバイトは平日はひとりだけ。私が灰皿掃除をやらなければ厨房の誰かがやることになる。私に言われてグゥの音も出なくなった社員だったが、後日、禁煙に挑戦し始めたオーナーの命令により、自分たちで灰皿掃除をすることになっていた。

 

このオーナーもオーナーで、自分が吸っていた時はそんなことひと言も言わなかったくせに、自分が禁煙を始めたとたん喫煙者を目の敵にし、「自分で使った灰皿ぐらい自分たちで片付けろ!」と言うようになったのである。世間では「喫煙者って自分勝手な人が多いよね」などと言われがちだが、まさにそれを地で行くタイプの人だなーと思った。

 

嫌煙者は、煙草を吸う人全員を嫌いなわけじゃなく、自分勝手な喫煙者が嫌いなのだ。吸わない人にちゃんと配慮してくれるなら、好きなだけ吸ってくださいと思う。

 

煙草を吸うなら、自分は有害物質をまき散らしている臭い人間なんだという自覚を強く持ち、この世界の片隅で生きていてほしい。もちろん吸っていない時は堂々と真ん中で生きてほしい。