ふたり暮らし。フィジカルもメンタルも…。
初バイトの洗礼
GW終了〜!今年は飛び石連休でがっかりした人も多いと思うが、サービス業の身としては連勤ばっかしてられないので非常に助かった。こっちもようやく連休だ〜!
この時期になると、人生初バイトのことを思い出す。もう20年以上も昔のことだ。宴会もできるような広いレストランで、入って2日目くらいでいきなり両手に大ジョッキを3個ずつ持たされて倒れそうになったのを覚えている。
先輩バイトは、口では「大丈夫?待てる?」と心配するふりをしてるのだが、その目は「そんくらい持てるよね?ていうか持てよ?」と言っていて、とてもじゃないけど無理ですなんて言える雰囲気じゃなかった。
ぷるぷるしながらどうにか運び、はぁ〜…と思っていたら、今度はでっかいトレンチにどんどん食器を積まれ、「じゃ、これ持ってって」と言われる。そこでも一応、「大丈夫?気をつけてね」と言ってはくれるのだが、その目は「さっさと持って行け」と言っていて、泣きそうになりながら重いトレンチを洗い場まで運んだ。
そんなぺーぺーだった私も、1年も経つころにはすっかり慣れ、平気な顔で大ジョッキを5個ずつ持って歩くようになった。逆に2個とか3個だと収まりが悪くて持ちづらいとすら思っていたほどだ。そして自分も新人さんに、「大丈夫?気をつけてね」と気づかうふりをしながらどんどん重い物を持たせていた。こうやってその店のやり方は引き継がれていくのである。
飲食店の仕事は料理を運ぶだけの仕事かと思いきや、その実態はほぼガテン系、ということを叩き込まれたバイト先だった。
全力疾走で尻痛める
そんなふうにほぼガテン系の仕事にも関わらず、飲食店ではスニーカーで働くことを禁止されているところが多い。かしこまった店ほどその傾向があり、でも自分がお客の立場だったら、店員の足元がラフなことよりも、パンプスや革靴でカツカツ足音をさせて歩かれるほうが不快な気がするのだが、そう思うのは少数派なのだろうか。
職場Bの制服は、普通の飲食店と仕事内容はほとんど変わらないのに、なんとパンプスに加えて制服がタイトスカートだ。ビールサーバーの生樽の交換も、重いグラス運びもこの格好でやらなければならず、これって女の人権無視してるよなーと常々思っている。上層部の男たちがこの格好で一度でも働いてみれば、「あ、制服変えよう」と思うに違いない。
この職場では遅番で最後まで働くと終電になってしまうことがあり、なるべく最後までシフトに入らないようにしているのだが、人が足りない時などに最後まで残ることもある。
先日はちょっとトラブルがあって閉め作業が終わらず、気づいたら終電ギリギリの時間になっていた。「電車組は上がってくださーい!」と言われ大急ぎで出たのだが、場所が制限区域内なので、ロッカールームまでがめちゃめちゃ遠い。廊下を走るなといたるところに書かれているがそんなの気にしてられない。もう、途中でヒールを脱ぎ捨てようかと思うほどである。
はぁはぁしながらロッカーにたどり着いたはいいものの、そこからまた駅までが遠いのだ。着替えもそこそこに地下にある駅までまた走るのだが、朝イチのフライトなのか、そんな時間でも観光客が呑気に歩いていたりするので思わずスーツケースを奪い取り、乗っかってシャーーーッとすべって行きたい衝動にかられる。
毎回ではないとはいえ、こんなこともあるのが職場Bの遅番だ。アラフォーになって全力疾走することになるとは思ってもいなかった。全力疾走した翌日は、必ずお尻が筋肉痛になっている。泣
笑顔の仮面
高校生大学生で初めてバイトをする時、飲食店を選ぶ人は多い。女の子の中には「いらっしゃいませ〜!」がなかなか言えず、先輩バイトに「声が小さい!」と叱られて、次の日から来なくなってしまった子も何人か見てきた。何事もそうだが、「やってみたら向いてなかった」というのはあるものだ。
飲食店に限らず、接客業はメンタルが強くないとしんどい仕事だ。内心どうであれ、いつでも笑顔の仮面をかぶることのできる人は向いている。私は向いているほうだと自分で思う。もちろん、もともと心からのサービス精神を持ち合わせている人もいるにはいるが、少数だろう。たいていの人は、ムカつくお客相手であっても心の中で毒を吐きつつ、笑顔の仮面で接客している。
最近、かの国の人々が「日本の接客の質が落ちた」というようなことを言っているらしいが、それが自分たちのせいであるという考えに至らないところが、かの国の人々が世界中で嫌われる所以である。質の落ちた接客に文句があるなら日本に来ないでもらっていいですか。仕事中は仮面を脱がない私が唯一脱ぐ相手が彼らだ。
(日本人がみんな誰にでも笑顔になると思うなよ。)
飲食で接客業をしていると、腕力とともにメンタルも鍛えられる。理不尽な目に遭うことが多いからだ。頭のおかしいクレーマーにいちいちメンタル削られてたら仕事にならないので、とりあえず申し訳なさそうな顔をして怒りの感情を受け流す術が自然と身につく。
「私、体力もないしメンタルも弱いから…」という人ほど、この仕事をやると意外な才能が開花したりするかもしれない。フィジカルとメンタルを同時に強くしたい方にはおすすめだ。笑