ふたり暮らし。ご近所大冒険。
愛車の健康診断
前回、前々回と出光で車検を受け、整備士さんの印象がとても良かったので、引っ越してきた今回も出光を探して車検を申し込んだ。やはり店員さんも整備士さんも非常に感じが良い。きっと従業員が働きやすい、いい会社なのだろう。
事前の見積もりでは、覚悟していた通りもうタイヤが限界だった。溝はまだまだ深いのだが、かれこれ10年くらいは経っているのでヒビ割れしてしまっている。今履いているタイヤもとっくにモデルチェンジしているらしい。
その他はこれといって問題なしだったのでほっとした。去年放置しすぎて上がってしまったバッテリーも、今はなにも問題ないという。ただ、いつものことではあるが、「できれば週に1度、30分程度は乗ってあげてください」と言われてしまった。週に1度30分て私たちにとってはけっこう負担が大きく、相当気をつけておかないとすぐに忘れてしまう。でも愛車の健康ために、がんばって乗ってあげなければ。
意地悪な日本人
車を預けて電車で戻り、ちょっとだけ参道をお散歩。途中、時々立ち寄るコーヒースタンドに入り休憩した。カウンターとテーブル席合わせて4席くらいしかない、とても小さなお店だ。テイクアウトする人がほとんどである。
人通りもまばらな昼下がり。私が座ってコーヒーを飲んでいると、通りがかった外国人女性と目が合った。女性は立ち止まって店内をジロリと一瞥し、立て看板のメニューをしばらく見た後でレジに近づき、Helloも言わず、店主さんに「これとこれはどっちが甘いの?」といきなり質問していた。なんか失礼な人だなぁと思って見ていると、店主さんは「え?なんですか?」と日本語で訊き返していた。
この店主さんが英語を話せることを私は知っている。でもわからないふりをしているようだ。
女性はもう一度、「だから!これとこれはどっちが甘いの?」と質問したが、店主さんはきょとんとしたまま答えない。女性はイラつきながら言い方を変えて質問し直していたが埒が明かず、急に振り返って私のほうを見ると、excuse meもなくいきなり「あなた英語話せる?」と訊いてきたのである。
私は当然のようにノーと答えた。
女性は「ち!」という顔をして店主さんに向き直り、キャラメルマキアートを頼んでいた。いつもは流暢な英語で対応している店主さんは、「え、どれ?これ?」「◯◯円です」と日本語で答えている。どうやらこの店主さんも私と同じように、意地悪な日本人のようだ。↓
待っている間、店内を見回していた女性と再び目が合った。その目は気のせいではなく敵意に満ちている。なにか言いたいことでもあるのか。どうぞどうぞ、がんばって日本語でおっしゃってみてください。
女性が出て行ったあと、店主さんのほうを見ると、「どうもすみませんでした」と謝られた。私は「あ、いえいえ」と答え、お互い苦笑い。この店には外国人観光客もたくさん訪れるが、ああいう人も多いのだろう。コンニチワ、スミマセン、ぐらい言えないものだろうか。なぜ自分で翻訳アプリを出そうともせず、あわよくば居合わせただけの見知らぬ客に通訳させようとするのだろうか。
2回目の散歩
夕方ジムから帰ってきた夫が、「なんか余計にストレスたまった」と不満を言った。プールでは中級者以上のレーンをもたもた泳ぐ人がいて、マシンでは隣の人がものすごくぜいぜいしながらドタドタ走っていて、私語禁止のはずのサウナでは世間話をしているおっさんがいたのだそうだ。
まあそういうこともあるだろうね…と思ったが、どうにもモヤモヤが取れないようなので散歩に出かけることにした。私にとっては本日2回目の散歩である。
夕暮れの情緒あふれる参道をぶらぶら歩き、いつもは行かない脇道を入った。出た先が一方通行としか思えないような狭い道なのに相互通行だったりして、地元の方々の運転技術の高さを目の当たりにした。
線路脇をひたすら歩いて進み、途中で高架下をくぐり抜け、またひたすら歩いて進む。土地勘はまったくないが、遠くに製薬会社の大きな建物があり、それを目安に歩いていればとんでもない場所には出ないだろう。
とっぷりと日も暮れ、知らない住宅街のうねうねした道を行く。お家自体は新しいお家がけっこうあったが、道の幅や区画は古い町並みそのものだ。近年、世代交代している住宅街なのだろう。所々にびっくりするくらい広い敷地に大きな日本家屋が建っていたりして、この土地の歴史の長さを物語っている。駅からだいぶ歩いたし、さすがに外国人観光客もここまでは来ないのだろう。「敷地内立ち入り禁止」の看板も見当たらなかった。
しばらく歩くと見覚えのある道に出た。よく行くスーパーの近くだ。全国どこにでもありそうな◯◯ニュータウンという名の、もうすでにニューじゃない住宅街。でも道路はまっすぐだし、住宅地の道も広く整備されている。知らない道を行く大冒険も楽しいが、やっぱり暗くなってきたら知っている道がいい。ホッとして家の方角に向かって歩いた。
Youtuberおすすめの店
途中、大通りの交差点から住宅地の中に見えた看板に夫が反応した。私はいつも通る道なので知っている看板だったが、夫は初めて目にしたらしい。
「あ!あれ、ヤマゼンさんが言っていた蕎麦屋だよ!」
ヤマゼンさんというのは地元のYoutuberで、夫はよくその動画を見てはラーメン屋の新規開拓に勤しんでいる。そのお蕎麦屋さん「なめ木」は、お蕎麦屋さんだけども曜日限定で蕎麦の出汁を使ったラーメン屋になるとのことで一度行きたいと思っていたのだそうだ。
その日はラーメンの日ではなかったが、先日夫とべつの店で久しぶりにお蕎麦を食べた際、夫はあったかいお蕎麦を食べ、ざるそばを頼んだ私を羨ましそうに見ながら「次はざるそば食べたい」と言っていたため、急遽寄ることにした。時間は夜の7半時くらい。静かな住宅地にある店内は空いていた。逆に昼間は行列のできる人気店らしい。
メニューを見てみると、そばパスタなるものがあったのでそれを頼むことにした。その名の通り、パスタ風のお蕎麦だ。夫は天ざるを頼んだ。天ざるのほうはニ八蕎麦で、そばパスタは田舎蕎麦と呼ばれるきしめんのような太い麺だった。明太子クリームがよく絡んでとてもおいしい。付け合わせの蕎麦を揚げたものも、カリカリサクサクでいいお酒のお供になった。
奥さんが蕎麦湯を私の分も出してくださり、ありがたく頂いた。とろりと濃くって熱い、ほんのり酸味を感じられるおいしい蕎麦湯だった。肌寒い日だったのでとても温まった。
膀胱の限界
店を出て再び自宅を目指す。まだ時間も9時前で、ほろ酔いの夫は大通りではなく住宅地の中を抜けて行こうとする。私だけでなく、夫も知らない道を歩くのが大好きなのだ。
しばらくはワクワク気分で歩いていた私だが、ふとトイレに行きたくなってしまった。尿意というのは一度認識してしまうとなぜか強くなる。冷たい風が吹くたびに尿意が強まり、のん気にキョロキョロしながら歩いている夫の手をグイグイ引っ張って足早に進んだ。もうお散歩なんてどうでもいい。一刻も早くお家に帰りたい。
見慣れた近所の交差点で信号待ちをしている時、いよいよ歩くのも危ぶまれるくらい限界が近づいてきた。ようやく信号が変わり、なるべく膀胱に振動を与えないように無言でスタスタ歩く。楽しいお散歩を中断させられた夫は、「お店で行っとけばよかったのに」と私自身が後悔していることを言う。ごめん、返事をする余裕もないんだ、こっちは。
やっとの思いで家につき、どうにか事なきを得た私の膀胱。お酒を飲んだあとのお散歩は気をつけよう、と教訓にしたのであった。