ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

各国の王子様お姫様

ふたり暮らし。各国の王子様お姫様。
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スイーツ王子

職場Bでは、カウンターでお客様が料理を選び、できあがったものを私たちがお席まで運ぶのだが、パンとスイーツだけはビュッフェスタイルとなっている。そのパンが置いてあるテーブルがお子さんにとってはちょっと高く、取る時に危うい場面をよく見かける。

 

ある時、低学年くらいの男の子がベルギーワッフルをお皿に取り、そこにチョコソースやイチゴソースなどをこれでもか!というほどにかけていた。テーブルは男の子の胸くらいの高さで、男の子は背伸びをしながら作業をしている。

 

私は少し離れたところから見ていたのだが、「あー…なんかお皿を持ち上げる時に落としそうな気がするなぁ」と思っていた。保護者の方はどこにいるのかな?と見回してみたが、近くにそれらしき人は見当たらない。席まで運んであげようかな…と思っていたその時、ワッフルにアートを描き終えた男の子がお皿を持ち上げようとしてソースのボトルを落としてしまった。そして、あっ!と思った時にはもう、ワッフルはお皿から床にすべり落ち、男の子は首から下がソースまみれになった。
(せっかくの力作が…)

 

男の子は床に落ちたワッフルを見つめ、空のお皿を手に持ったまま明らかに心の中で「あーあ…」と言っているであろう顔をしていた。漫画のようなワンシーンに吹き出しそうになりながら、急いでペーパーナフキンとウェットティッシュを持って駆けつけ、男の子の服を拭いてあげた。これから帰国するのかそれとも乗り継いでべつの国に行くのか知らないが、飛行機に乗る前に服がこんな状態になるなんて気の毒すぎる。ソースやシロップは無惨にも男の子のズボンにまでかかっていて、拭いたところで気休めにしかならない。全身から甘〜い匂いの漂うスイーツ王子の誕生だ。

 

するとそこへ赤ちゃんをだっこしたお母さんがやってきて、男の子の状態を見て「⭐︎※△◻︎⊿⭐︎#⁂※◻︎#⭐︎£ーーーー!!!」と怒鳴った。たぶん「ちょっと何やってんのよーーー!!!」と言っていたのだと思う。

 

男の子はしゅんとして、お母さんに無理矢理手を引かれて席に戻って行った。

 

騒ぎを聞きつけた社員が席まで行ってタオルを貸し出したりしていたが、お母さんの怒りは収まらないようで、ずーーーっと男の子に向かって何やらまくしたてていた。そんな怒らんでも…と見ていて可哀想になるくらいだった。

 

男の子の力作には及ばないが、私がワッフルにソースをかけたものを席まで持って行くと、男の子ははにかみながらもちゃんと英語でお礼を言ってくれた。中東系の子どもというのは顔が整いすぎているため、思わずその笑顔にこちらはクラッとなってしまう。

 

ブロンドの天使

昔、知人の当時3歳の娘さんがお昼寝をしているのを見て、「可愛い〜」とつぶやいた私に、その知人は言った。「どんな子でもね、寝ている時はね、天使♡」。

 

人種問わず、小さい子はみんな同じように天使だ。それは前提として、それでもやはり、ブロンドのご両親が連れている子どもは、まさに絵に描いたような本物の天使だなぁと思う。

 

エルサのドレスを着たブロンドの女の子が来店した時は、その美しさにくぎづけになった。まだ4〜5歳くらいなのに、もう完全にできあがっている。可愛い外国人の子どもというのは大勢見たことがあったが、あそこまで完成されている子を見たのは初めてだった。

 

白い肌に青い瞳、ゆるくウェーブしたプラチナブロンド、耳にはキラリとピアスが光っている。ご両親ももちろん美男美女だったし、美男美女の欧米人はそこまで珍しくはないが、子どもがあそこまで完成されていると、申し訳ないなぁと思いつつもチラチラ見ずにはいられない。芸能人がいてもそこまで見たりはしないのに、凡人の心をつかんで離さない美しきブロンドのプリンセス。青いドレスが似合い過ぎている。

 

ほぇ〜〜〜と思いながら見ていると、席についたそのご家族が、ベビーカーから赤ちゃんを抱き上げた。この赤ちゃんがこれまた天使そのものだった。

 

可愛いお顔をした赤ちゃんがいると、よく「オムツのCMに出れそうだねー」なんて言うことがあるが、このブロンドの天使に相応しいのはオムツじゃない。翼だ。背中に翼をつけて、ネロとパトラッシュを迎えに来るようなCMがいいと思う。もしくはお姉ちゃんと一緒にネモフィラの花畑の真ん中に寝そべらせ、世にも美しい洗濯洗剤のCMなんてどうだろうか。

 

七五三で見せつけよう

彫りの深い顔がなくても、美しいブロンドの髪がなくても、日本人が世界中の人々から注目される方法はある。着物だ。

 

成田市の成人式は空港で行うため、成人の日は振袖を着た女の子たちがたくさん来ていて、外国人観光客は彼女たちを見てとても喜んでいた。それにしても、なんで女の子は振袖なのに男の子はスーツなんだろう。袴姿の男の子がいたりすると日本人の私でも「お!」と思う。袴を着ている子=ヤンキーみたいなイメージになっているのが大変もったいない。スーツなんてこの先毎日着ることになるんだから、わざわざ成人式で着なくてもいいのに。

 

小さな子は七五三がチャンスだ。華やかな着物姿の子どもなんて、世界中を探しても日本にしかいない。中東の王子様も西洋のお姫様も七五三には勝てるまい。注目度でいえば七五三の圧勝だ。こんな素敵な着物の文化、七五三だけにしておくなんてもったいない。お正月もお雛祭りも端午の節句も七夕祭りも、ありとあらゆる節目に日本人はもっと和服を着てほしい。和服姿で親子で歩いていたら、きっと周囲の人はみんな笑顔になるだろう。想像するだけで癒される。

 

私自身は着物が苦手なので、ぜひみなさんにどんどん着てほしいと思っている。笑