ふたり暮らし

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【寂しい生活】令和の今こそ読みたいエッセイ

ふたり暮らし。令和の今こそ読みたいエッセイ。
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気になる人物

何ヶ月も前から気になっていた人物がいる。稲垣えみ子さんだ。

 

稲垣さんのことをブログで紹介している記事を読み、興味を持ってAmazonのレビューを読んだ。代表作である「寂しい生活」は人気エッセイらしく、レビューが900以上もついている。それらをひとつずつ読み、「あー、なるほどね。悟り系ミニマリストってやつか」と納得し、レビューを読んだだけで著書も読んだ気になっていた。

 

私にとってのミニマリスト本は、かの有名な「ぼくたちに、もうモノは必要ない(佐々木典士著)」が最高の指南書で、そこにミニマリストの本質はすべて詰まっていると考えている。私はミニマリストしぶさんも好きなのだが、しぶさんは持ち物ひとつひとつに強いこだわりのある美意識高い系ミニマリストで、対して佐々木さんは、あるがままのモノで満たされる悟り系ミニマリストだと思っており、両者には共通する部分もありつつも、物事への考え方は大きく違うと感じている。

 

このおふたりの著書を押さえておけば、ミニマリスト系のノウハウや生き方・考え方は習得できると思い、稲垣えみ子さんのことも気になってはいたものの、「まあミニマリストのエッセイって結局行き着くとこは同じだし、今さら目新しい情報もないでしょ」と読むまでには至らなかった。でも、アフロのミニマリストとして取り上げられている情報を見ては、「やっぱり読んでみようかなぁ」と逡巡する日々が続いていた。

 

お金の使い方

先日、本の紹介系ブログで、稲垣えみ子さんの「寂しい生活」が紹介されていた。おもに最新刊の紹介をしているブログなので、これは珍しいことである。まるで、「ずっと気になっているんだから読めば?」という神様のお告げを受けたような気持ちになり、その記事を読んだ勢いのままポチった。

 

かくして、気になり始めてから数ヶ月越しで手元にやって来た「寂しい生活」。読んだ感想は、「やっぱり読んで良かった!」である。

 

今さら私なんかが説明をしなくとも、本の大まかな内容はAmazonのレビューに大勢の方が書いてくださっているので割愛するが、稲垣さんの破天荒な生活への驚きもさることながら、もっとも胸に響いたのは彼女のお金に対する考え方である。

 

私の好きなスピリチュアリストの方々は、「お金は感謝の形」だとよく言っている。手に入れたモノやコトへの対価ではなく、それを提供してくれている人への感謝を形にしたのがお金なのだと。稲垣さんはスピリチュアリストではないのに、著書の中で同じことを言っている。

 

「同じものなら少しでも安く手に入れるほうがトク」。これまでずうっとそう思ってきた。でも本当にそうだったのか?もしそうなら、自分はトクするけど相手は損をすることになる。

〜中略〜

自分にとって大切なものを提供してくれる人には、むしろ多めに払うくらいの気持ちでちょうどいいんじゃないか?つまりお金を「応援券」として使うのだ。

 

先述したスピリチュアリストの影響で、私は株式投資にもちょっとこだわりを持っている。それが「株価や優待などの特典ではなく、応援したい企業に投資する」ということだ。投資というのは本来そういうもので、儲けようと思って株価の上下に一喜一憂するぐらいなら、投資なんてしないほうがいい、というのがスピ的考え方である。

 

ふるさと納税も、スタートはそういうものだったはずだ。それがいつのまにか返礼品の豪華さばかりが注目されるようになり、納税者は1円でも得をしたいと考えて納税先を決めるようになってしまった。

 

この状況からは、ふるさとを応援するという本来の目的はどこかへ追いやられ、他者<<<自分、という構図しか見えてこない。返礼品競争に勝てない自治体は潤わず、自分が日々お世話になっている居住地の自治体は税収減にあえぐ。地方自治体にしても、手数料を支払ってサイトに掲載してもらわなければならず、儲かるのはサイトの運営者ばかりである。ふるさと納税とは、一体誰のための制度なのだろうか。

 

ミニマリストしぶさんも同じようなことを言っていて、だから彼はたくさん稼いでいるにも関わらず、預金残高は常時60万円程度(半年分の生活費)で、それ以外のお金はすべて、友人知人のクラウドファウンディングや応援投資に回すようにしているのだそう。人のために使ったお金は回り回って必ず自分のところに戻ってくる。しぶさんもスピリチュアリストの方々もそう口を揃えて言い、私自身もそれを実感している。

 

タイムリーな内容

「寂しい生活」の初版は2017年だ。当時も不景気で厳しい世の中だったが、その頃よりもはるかに物価高の今、この本は改めて現代人の生き方を考えさせてくれる本だと思う。

 

「いやいや、とっくに読みましたけど。今さら何言ってんの(苦笑)。」と思われる方も多いことだろう。私自身、さっさと読んでいなかった自分を恥じている。でも、もしこの本を未読の方がいらっしゃったらぜひ読んでみてほしい。この厳しい冬のような時代でこそ、「生きる」ということがどういうことなのか、その本質を見つめ直してみるのもいいのかもしれない。