ふたり暮らし。理想の暮らし。
玄関に違和感
ミニマリストしぶさんが嫌うモノのひとつにカラーボックスがある。彼の言葉で言うところの「ミニマリストの敵、3段ボックス」というやつだ。
ミニマリストの人たちがよく言っているのは、「備え付けの収納に収まる範囲で物を持つように。はみ出るのは持ちすぎ」だということ。たしかにそれができれば理想的だが、現実はなかなか難しい。物件によっては位置が高すぎて使えない収納もあったりするので、簡単に置き場や形状を変えられるカラーボックスは必需品だ。
今住んでいる家は、家の広さの割に玄関が広い。普通の一軒家の玄関くらいある。それなのになぜか下駄箱が一般的な奥行きのあるタイプじゃなくて、靴を立てかけてしまうタイプのスリム型なため、それまで下駄箱内に置いていたシューケア用品や虫除けスプレーなどがしまえなくなってしまった。
玄関にいろいろ置くのはあまり気が進まなかったが、まあ広いしいいか!と思い、カラーボックスを置いてそこにそれらの物たちと、トイレも近いので生理用品のストックなどもカゴに入れてしまっていた。
でも…なんかモヤモヤするのだ。ずっとこのモヤモヤに気づかないふりをしてきたが、やっぱり気になる。カラーボックスが玄関の景色を邪魔しているのだ。
理想型を作り、そこに辻褄を合わせていく
試しに、カラーボックスを撤去してみた。やっぱりすごくスッキリする。絶対にこっちのほうがいい。
じゃあ玄関に置かなくなったカラーボックスをどうするか。最初はクローゼットの中に移動させようかと思ったのだが、ここでしぶさんの言葉を思い出した。
「まず理想型を作り、そこに辻褄を合わせていく」
物を減らしてスッキリさせたいな〜、とぼんやりと思うのではなく、まず自分の理想の景色にとって邪魔だと思う物を撤去してみる。そして、その景色に辻褄を合わせるようにして、絶対に必要なものだけを戻していくのだ。
せっかく玄関からカラーボックスを撤去したのだから、それをわざわざほかのところで活用しなくてもどうにかなるのではないか。どうにか辻褄を合わせられるようにやってみよう!そう思い、さっそくそのカラーボックスを解体した。物より先に収納家具を処分するのがしぶさんメソッドの鉄則である。
カラーボックスにしまっていたのは、虫除けスプレー、虫こない系スプレー、虫撃退系スプレー、防水スプレー、革靴用オイル、靴ブラシ、インソール、生理用品ストック、トイレ用タオル、セスキのストック、泡ハイターのストックである。
これらの中で絶対に玄関に置きたいのは虫こない系スプレーだ。ストックも含めて複数あり、場所を取っているが減らせない。虫の出てくる季節には定期的に玄関周辺に撒いておかないと不安なのだ。玄関開けたら虫とこんにちは♪なんて冗談じゃないし、夜帰宅した時におかえりなさい♪と出迎えられたりしたらお家に入れない。
そんなわけで、虫こない系スプレーと虫撃退系スプレーの2本くらいなら靴の横に立てかけてしまえるので、そうすることにした。これでとりあえずは玄関の平穏を保てそうである。
虫系スプレーのストックはシューケア用品と一緒に寝室のクローゼットの中に移動。トイレ用のタオルはトイレの棚に直置き。生理用品のストックは洗面台の下に移動。洗剤の詰め替えはキッチンのシンク下に移動。移動させるにあたって、それぞれの場所の物を見直し、いくつか処分した。
ただ玄関をスッキリさせる、という目標のために、結局は家中の収納内を見直すことになった。
理想形の違う夫婦
部屋を見回してみて自分が違和感を持つものって、見えないふりをしていてもずっとこころのどこかにひっかかっているものなんだなぁと思った。べつに邪魔じゃないし、使っているし、生活動線も遮らないのであれば、なかなかその違和感のもとを断とうとならないかもしれない。
夫はよく、「もっと広い部屋に住みたいね」と言っていて、「広い部屋で何がしたいの?」と訊くと、「今と同じ(ゲームと映画と音楽)。でももっと空間を楽しみたい。あとワインセラー置きたい」と言う。
いつも思うのだが、夫の理想の暮らしは賃貸向きじゃないのだ。広い部屋、となる時点でアパートや普通のマンションでは難しい。趣味が読書とかなら机と椅子と本棚で解決できるのに、夫の趣味にはデスクとモニター2台とPC本体とスピーカーとゲーミングPCとカメラ用の防湿庫と大型テレビが必要なのである。そこにさらにワインセラー?買ったらすぐ飲んじゃうに決まってるのに何言ってんだろう。笑
でもここに越してくる時に、スピーカーセット一式と大きなテレビボードを処分して夫なりにがんばってくれたので、これ以上は強く言わないことにしている。
(ゲーミングチェアの導入だけは全力で阻止し続けるが。)
昔は夫の部屋をべつにしていたこともあった。でも、夫はまったく自分で掃除や整理整頓ができない上に、床にどんどん物を置き始めてしまうため、夫自身が個室は持ちたくないと言い出し、今の形に落ち着いたのだ。部屋数が少ないほうが家の選択肢も広がるというのも理由のひとつだ。
夫のこだわりや趣味はもちろん尊重したい。けれどそれを思う存分にやろうとするなら広い家を持つ必要がある。でも夫は今と同じように転々と移動しながら暮らし続けるのが夢だとも言う。いやいや(笑)、日本全国に別荘を持てるなら話はべつだが、普通はその夢は両立できない。旅人のように暮らしたい人は、音や画質は二の次で、なんでもノートパソコン1台で完結できるようにするはずなのだ。
夫の理想の暮らしを聞いていると、その矛盾に突っ込みたくなる。自分の理想の暮らしを具体的に思い描ける?と訊きたい。
夫の理想と比べると、私の理想の暮らしなんて質素なものである。それこそ机と椅子と本棚があれば解決だ。しかも私は同じ本をくり返し読むタイプなので本棚も小さくていい。あとは窓から太平洋が見えたら言うことなし!
リビングへの理想が全然違うふたりが将来住む家は、いったいどういう家になるのだろうか。 具体的にイメージできない夢は叶わない。だからきっと私の理想を叶えた家に住むことになるだろうと思っている。笑