ふたり暮らし。ジェンダー先入観。
花壇のお手入れをしてくれていたのは…
先日のドライブでのこと。
途中で寄ったパーキングの花壇がとても綺麗だったので写真を撮っていたら、奥の売店から戻ってきた夫がコソッと、「ねぇ、ちょっとあっち見てみて」と言うので夫の目線をたどってみた。すると、そこには黄色いヘルメットを被り、工事現場の作業服を着ている男性が数人、せっせと花壇にお花を植えているという、ちょっと予想外の光景が広がっていた。
大きな身体を小さくして花壇のそばにしゃがみ込み、大きな手でお花の苗を大事そうに持つその姿。ひとりが穴を掘り、もうひとりがその穴に苗をそっと埋め、土をかけていく。べつの人はスコップで土を耕しながら進んで行き、べつの人はジョウロでチョロチョロと水をかけながらみんなの後をついて行く。時折笑い合いながら、でも視線はずっと花壇に向けられていて、全員がその作業を楽しんでいるのが伝わってきた。
なんだこの萌える光景は…!
夫とふたり、思わず見入ってしまった。笑
今まで、街中のきれいな花壇や植え込みなどのお手入れは女性が先頭に立ってしてくれているんだろう、という先入観があったが、そうとは限らないんだなぁと知った。「パーキングに花ァ!?いらねぇだろ、そんなもん!予算がもったいねぇ」というようなおじさんのイメージが脳内で固定されてしまっていた自分の先入観を反省する機会にもなった。
大ジョッキとパフェの行方
カップルだか夫婦だかのテーブルから、ビールの大ジョッキと小ジョッキの注文が入ったとする。すると店員側は、無意識のうちに「大が男性、小が女性」と思ってしまう。置く時に一応、「大ジョッキご注文のお客様〜?」と訊いてはいるが、すでに手は男性のほうに向かい始めていて、まれに「あ、私です」と女性に言われて(おっと…!こっちかい!)となることがある。これはパフェなどのスイーツでも同様だ。
先入観を持ってしまう組み合わせはほかにもある。
コーヒー→男性
紅茶→女性
熱燗→男性
カクテル→女性
照り焼きハンバーグ→男性
アボカドハンバーグ→女性
白米→男性
雑穀米→女性
それぞれが単品注文だとそうでもないのだが、これらがふたつ組み合わさってオーダーが入ると、無意識のうちに脳内で上記のようにイメージしてしまう。
昔の私は先入観そのままに「大ジョッキでございまーす!」と言いながら男性側に置いてしまっていたのだが、以前Twitterで、とある女性が「大ジョッキは男で小ジョッキは女っていう決めつけが腹立つ。私が大ジョッキですって伝えた時に気まずい感じを出されるのも嫌」というようなことをツイートしていて、それ以来必ず置く前に訊くようにしている。
また、同じ人かどうかは覚えていないが、旅館での食事の際の、おひつの置き場についても言及していた記憶がある。仲居さんがおひつを女性側に置く🟰女がおかわりをよそうのが当たり前、という男尊女卑文化の押し付けが不快だとのこと。
これには正直言って、「じゃ、旅館じゃなくてホテルに泊まれば?」と思ってしまった。
三歩後ろをついてこい文化とレディファースト文化
日本の、「妻は夫の三歩後ろをついてこい」文化と、欧米のレディファーストの文化は、それぞれの起源を知ると印象が180度変わる、とよく聞く。話の出処はどれも確かじゃないのでその話自体がこじつけと思わなくもないが、それでも日本人としてはちょっと嬉しくなるような話でもある。
侍は、女性を危険にさらさないよう、つねに自分が前を行き、いつでも刀を引き抜けるように女性を三歩下がらせた。
欧米では、初めての場所には危険が潜んでいる可能性があるから、まずは女性を先に行かせて安全かどうかを確かめ、女性に先に食べさせることで毒見をさせていた。
これが事実かどうかは知らないが、今のイメージとは真逆の解釈だ。たしかに歴史小説などを読んでいると、日本の侍はそういう精神を持っていたのがわかるし、白人男性の中には女性に対して非情な考えを持つ人が多かったこともわかる。
今の時代、夫に「黙って三歩後ろをついてこい」なんて言われたら、ほとんどの妻は踵を返してそのままどこかへ行っちゃうだろう(笑)。 同じ行動なのに時代によってまったく違う印象を受けることというのは、このほかにもたくさんありそうだ。
先述のおひつの置き場においても、今後はふたりのちょうど真ん中に置く旅館が主流になっていくのだろうか。そのうち、女性の浴衣が赤で男性の浴衣が紺なのは決めつけだ!とか言い出すのかもしれない。
ジェンダーレスだの多様性だの…(うるさいねん)
男はこう!女はこう!という決めつけはよくないと最近よく言われているが、よくないのは決めつけではなく押し付けではないだろうか。
小さな男の子と女の子がいて、ピンクと水色のおもちゃをそれぞれに渡すとする。その時に「はい、◯◯君にはこれね」と言って水色のほうを渡そうとするのが「決めつけ」で、「ぼく、ピンクがいい」と男の子がいっているのに無理矢理水色のほうを渡すのが「押し付け」だ。
男の子だから水色がいいかな?と思い込んでしまうのが悪いとは私は思わない。ぼくピンクがいい!と言われたら「おお!そうなのね」と驚きつつピンクのほうをあげればいいのではないか。「男の子がピンクなんておかしいよー!」と否定したりからかったりするのは悪いことだが、先入観を持つことまで悪とするのは行き過ぎな気がする。
多様性多様性多様性多様性…多様性を認めろというなら、これまでの多数派による先入観を持つこちらの立場も認めてほしい。男性と女性とでは身体の作りも脳みその作りも違うんだから、その性差を「レスにしよう」なんて間違ってる。
バレエの世界なんてモロ男女の区別がはっきりしている。もし、「男が王子、女が姫なんて決めつけはおかしい!」なんて意見が幅を利かすようになったら、バレエという芸術は廃れていくに違いない。