ふたり暮らし。相性の悪い相手。
人の印象は出会って3秒でほぼ決まる
人と人とが初めて出会った時、お互いの印象は3秒でほぼ決まると言われている。
私は学生時代から第一印象が良くないのが悩みだった。見た目がキツめなので気が強く見えるのだろう。そしてそれは当たっている。実際、私は気が強いと自分でも思う。というか、バレエを長くやっている人で気が弱い人は今のところ見たことがない。笑
私は見た目のキツさも相まって、初対面でとくに女性に嫌われるという経験を多くしてきた。学生時代はそれでも挽回できるチャンスが豊富にあるので、初対面の印象が悪くても、後々それを笑い話にできるくらいに仲良くなれたりもしたが、社会に出るとなかなかそうはいかない。
バレエの先生をやっていた時、女性との初対面の機会は非常に多かった。保護者との出会いである。
見た目がキツイと自覚していた私は、小さな子を怖がらせないようにつねに笑顔でいることを心がけるようになっていたが、同じ女性であるお母様には私が気が強いことがすぐにわかるのだろう。体験レッスンなどでの「初めまして」「よろしくお願いいたします」の短いやり取りで、「あ、いい印象持たれていないな」と感じることがよくあった。
保護者にいい印象を持たれていないと感じると、そのお子さんに接するのは非常に気を使う。ほんのちょっとしたことでも悪いほうに取られる危険性が高いからだ。そして多くの場合、そういうお子さんは入会しない。当然である。母親が教師に対していい印象を持っていないのだから、娘をそんな教室に入れるわけがない。
そんな中、「いい印象持たれていないな」と感じた人でも、入会してくださる時はある。そして、お子さんが小さい頃はどこかよそよそしい感じだったお母様が、お子さんの成長とともに私を信頼してくださり、お互いに心を開いてお付き合いできるようにようになっていくことが、子どもたちの成長を見ることと同じくらい、嬉しいことだった。
子は鎹
大切な娘を預ける相手として、教師の印象はとても大切だ。にも関わらず、「正直先生はあまりいい印象じゃなかったけど、娘は気に入ったみたいだし、大事なのは娘の気持ちだから…」と恐らく悩んだ末に入会という選択をするのは、きっと勇気のいったことだろう。
お母様と私との間にお子さんというクッションが入ることで、本来なら相容れないはずのふたりが、長くお付き合いする間柄になる。こんな風に子どもを介しての人間関係というのはある意味で特殊だ。
「絶対に友だちにはなれないな」と思う相手であっても、子どものせい(おかげ?)で半ば強制的に始まった関係を続けていくうちに、信頼し合える関係に変わっていく。きっとママ友関係なども同じようなものなのだろう。「子は鎹」とはよく言ったものだ。夫婦じゃなくても子どもという存在は人間関係の鎹になるのかもしれない。
防衛本能
間に子どもが入ってくれる場合はべつとして、たいていの場合、大人同士がはじめましてをして、
「あ、この人好きじゃない」
「あ、たぶん好きじゃないと思われてるな」
とお互いが感じた場合、その関係はその後もあまり変わることがない。学生時代のように様々な経験をともにする、という機会のない社会人はなかなか挽回のチャンスがなく、 お互いの第一印象をずーっと引きずってしまいやすいのだ。
でもこれはある種の防衛本能なのだという。
初対面で「私、好かれてないな」と感じる相手というのは自分にとっては危険な存在であり、「必要以上に近づかないように」という防衛本能が働いて、「なんか嫌われてるっぽいからできるだけ関わらないでおこう」と思うようになるのだそうだ。
一番やらないほうがいいことは、無理に近づこうとすること。
なんとか気に入られたいと思って無理して関係改善を図るのは、自ら虎の穴に近づく愚かな行為だ。虎穴に入らずんばなんとやら、という諺もあったりするが、こと人間関係においてはわざわざ自分を傷つけに行く必要はない。脳が「自分にとってこの人は危険」だと教えてくれているのだから、その気持ちに素直に従いなさい、とのこと。
誰からも好かれる人に人は憧れる。実際に、人たらしと呼ばれるような、関わった人みんなから好かれる人というのは一定数存在する。
でも私はそうじゃない。10人いたら、私を気に入ってくれる人は1人いるかいないかといったところだ。初対面の印象も含め、性格も好みも万人受けしない自覚がある。それでも私と関わってくれる人のことを、私は大切にしたいと思う。
こんな記事を書いているということは…
こんな記事を書いているということは、つまり新しい職場に「あ、嫌われたな…」と感じる相手がいるということである。しかもふたりも。人数が多い職場なのでひとりひとりとの関わりは少ないが、初日の「よろしくお願いします」も含めて、まだ2〜3回しかやり取りしていないにも関わらず露骨に態度に出されるということは、やはり最初の印象が良くなかったのだと思う。
ふたりとも私が言うのもなんだが、非常に気が強そうな顔をしている。きっと私も他人からはああ見えているのだろう。そして私を嫌うのは毎回こういうタイプの女性だ。
他人の振り見て我が振り直せ。今後出会う人に無理に好かれようとする必要はないが、必要以上にキツイ印象を持たれないように、改めて自分の態度も見つめ直そうと思った。