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ふたり暮らし。子どもの夢。
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女子小学生の憧れの職業

友人から、「やばい日本終わってるw」との文面とともに上の画像が送られてきた。

 

【女子小学生の憧れの職業ランキング】

1位  働きたくない
2位  プリキュア
2位  看護師
4位  橋本環奈
5位  YouTuber
6位  あいみょん
6位  公務員
6位  ヒカキンの嫁
9位  VTuber
10位     石油王
10位     吉田沙保里

 

ちょいちょい職業じゃないのも入っていてウケる。憧れの職業「吉田沙保里」って…笑
(まあ物騒な世の中になったし、女の子が吉田沙保里さんのような強さを身につけるのはいいことかもしれない。)

 

橋本環奈ちゃんがランクインしてくるあたり、ルッキズムな世の中を反映しているなぁと思う。YouTuberはもはや近年の定番だし、ヒカキンの嫁とか石油王はつまり、楽そうに見えて大金持ちってとこに憧れているのだろう。

 

あいみょんて何よ?と思って調べたら歌手だった。歌手に憧れているうちはまだまだ健全な気がして安心したが、子どもが憧れても大丈夫な歌手なのよね…?変な歌は歌ってないよね…?と一瞬不安に思ったのも事実である。

 

昔は女の子に根強い人気のあった、幼稚園の先生・保育士・パティシエ・お花屋さんなどがランクインしていないのが、耳年増な子どもの現代像だなと感じる。今時の子には、看護師とか公務員などが安定して稼げる職業だという知識が当たり前にあるのだろう。そんな中での2位のプリキュアにホッとしたのは私だけじゃないはず。笑

 

さて問題の1位「働きたくない」。
(なんと正直な…笑)

 

学年で区切っていないだけあってプリキュアとの落差がすごいが、つまり現代の親はそれだけ疲れきっているということなのだろう。毎日仕事と家事育児でクタクタになっている両親を見て暮らしていたら、「将来は働きたくない」と思ってしまうのも無理はない。

 

将来の夢を訊く文化

なぜ大人は子どもに将来の夢を訊くのだろう?なぜ子どもが「公務員」とか「YouTuber」とか答えると「もっとほかになんかないの?」などと言うのだろう?

 

私は夢のない子どもだった。将来の夢を訊かれるのが大嫌いで、スラスラ答えている子を見ると「なんでみんなそんなに夢があるんだろう?」と不思議でしかたなかった。ピアノを習っていた子はピアニストとかピアノの先生と言っていたし、サッカーを習っている子はサッカー選手、野球を習っている子は野球選手と答えていた。

 

低学年の時、「将来の夢」について書かされた作文を授業参観で発表し、親にいたく感激されたことがある。

 

その内容は、結婚してふたごの女の子を産み、小さな雑貨屋さんを家族で営みながら、苦労しながらもささやかな幸せを築いていく…というようなものだった。当時読んでいたミラクルガールズとちびまる子ちゃんにかなり影響されている。作文(お話作り?)が得意だった私にとって、ありもしない将来の夢を絞り出すことよりも、テキトーに大人が喜びそうな話を創作するほうがはるかに簡単だったのだ。

 

クラスの中には、サッカー選手や野球選手などの定番の夢のほかに、「大金持ちになってスポーツカーを乗り回す」とか、「大金持ちと結婚して優雅に暮らす」みたいな作文を発表した子もいた。母は家に帰ってから、「お金お金お金って子どもがあんまり言うのはね…葉月の夢は初めて聞いたけど、すごくいい夢だと思ったわ。ママ嬉しかった」と言い、私はとても複雑な気持ちになった。

 

子どもが大人の理想通りの夢を語れば大人は喜ぶ。でも、子どもが「楽して稼ぎたい」「楽して暮らしたい」と言うと、「子どもらしくない」とか「夢がない」と言う。自分の息子がサッカーを習っていて「将来はサッカー選手になりたい」と言えば、「そんな大それた夢を見て…」と呆れたふりをしつつも内心は喜んでいる。なぜなら、サッカーを習わせている自分の苦労が報われるからだ。

 

バレエ教師をしていた時、小さい子に「大人になったらバレエの先生になるの」とか「バレリーナになりたいの」などと言われたらとても嬉しかった。小さい子どころか高学年くらいの子に言われても嬉しかった。でも、中学生高校生がそんなことを言ってきたら、「いやいやいや…もっと現実的な夢を見なさいよ」と思っていた。自分も含め、ほんとうに大人というのは勝手である。

 

子どもの夢は「子どもから見た大人の世界」

たしかに、小学生の憧れの職業1位が「働きたくない」になる日本は終わっている。でも、ある意味子どもは達観しているようにも見える。「大金持ち」ではなく、ただ単純に「働きたくない」。贅沢できなくてもいいから1人の時間や家族との時間を大切にしたいということだ。

 

つまり、今子どもたちの目に映る大人はそうではないということなのかもしれない。もしくは、外に働きに出ずに自分を育ててくれている母親に、尊敬の念があるのかもしれない。

 

欧米では今、専業主婦回帰の動きがある。やはり女性が男性と同じように働き続けることでの身体的負担や、親と過ごす時間が短いことで子どもの情緒に影響があるということが、少しずつ明らかになってきたのだろう。親も子も同じ部屋で川の字に寝たり、赤ちゃんが泣いたらすぐに抱っこやおんぶで安心させてあげたり、母親が家にいて子どもの変化を敏感に感じ取れるようにしたりと、昭和の日本の生活が理想なんじゃないかと言われ始めている。

 

世界が古き良き日本の価値観に回帰していく中、日本はどこへ向かっていくのだろうか。20年後の小学生の憧れの職業がいったい何になるのか、タイムマシンがあったら見てみたい。