ふたり暮らし。いつも同じ。でもそれがいい。
定番のケーキ
クリスマスケーキを作った。私の作るケーキはガトーショコラ一辺倒だ。クリスマスとバレンタインと自分の誕生日にこれを作る。夫の誕生日だけは夫の好きなメープルケーキを焼くこともあるが、私の独断でガトーショコラになる年も多い。
(私はメープルがあまり好きでなく、夫はチョコも好きだから。)
昔はシフォンケーキとかパウンドケーキとかチーズタルトとか色々作っていたが、今はあまり作らなくなった。シフォン型もタルト型も手放し、今は丸いケーキ型とパウンドケーキ型ひとつずつだけ。シフォンケーキもタルトも見た目を気にしなければ専用型じゃなくても作れる。
「今年はどんなケーキにしよう♪」とワクワクしながら悩む楽しみはないが、その分手慣れているので「よーし作るぞ!」と気合いを入れなくてもいい。年々、特別感やワクワク感よりも、定番のものや決まったルーティンを快適に感じるようになってきた気がする。
定番は特別な日のケーキだけでなく、普段のおやつも同じだ。私が作るのはなんの工夫もないシンプルなクッキーとパウンドケーキだけ。しかもクッキーのほうが一度にたくさん作れるからという理由で、最近はパウンドケーキすら作っていない。クッキーは読書や勉強しながらでも片手でつまめるのがいいところだ。
いつもの食事も定番で
わが家は普段の食事にも定番がある。干物とお味噌汁、豚肉のネギ炒めとお味噌汁、里芋の煮付けとお味噌汁、きんぴら蓮根とお味噌汁、鶏肉の生姜煮とお味噌汁。旬によって多少違いはあっても、だいたい一年を通してこれの繰り返しだ。冬はここに鍋が加わり、あとは時々スパイスカレーを作るぐらい。
一汁三菜なんて誰が決めたのか知らないが、料理が得意じゃない私には一汁一菜が精一杯。足りない栄養素はサプリメントに頼っている。
私の実家は、毎日何種類ものおかずが食卓にズラーッと並ぶ家だった。父がそれを望んでいたらしく、今もそのスタイルは変わらない。母はずっと働いているのに、子育てもしながらよくやってきたなぁと尊敬する。今のわが家から見たらまるで毎日がお祝いみたいな食卓で育った私は、結婚当初、母と同じようにしようとがんばった。そして挫折した。
母は料理が好きで得意なのだ。祖父の仕事の関係もあり、子どもの頃から祖母と一緒に毎日大量の食事の用意をしていたという。もう、そもそものポテンシャルが私と違いすぎる。母の真似をしようなんて思うほうが間違っていたのだ。
自分の料理の腕に見切りをつけた私は、定番を決めることで毎日の食事の支度がとても楽になった。小分けにしておいた食材を冷凍庫から出して焼くだけ、煮るだけ。お味噌汁の具もワカメ豆腐ネギで固定。買い物も秒で済むようになり、食材を余らせることもなくなった。
定番を決めておくと楽
食事以外にも定番はある。私の場合、靴とバッグだ。靴はまったく同じものを3足持っている。バッグはひとつ。靴とバッグが固定されていると服を買う時に迷いが減る。ついでに真冬以外はワンピースしか着ないので、もはやコーディネートを考えることもなくなった。
靴がヘタってきたら新しいのを買い足し、一番古いのを処分するだけ。毎日同じバッグだから中身を入れ替える必要がなく、忘れものもしない。ワンピースやセーターも、自分に似合う・着心地がいいと思ったら同じものを2着買って気回すので、服の消耗を遅らせることができる。
新鮮さを求める人には信じられないような生活かもしれないが、私のようなマメじゃない人間には「定番」が楽だし、安心するのである。
たまに実家に帰ると、母に「なんか…いつも同じ服着てない?」と言われる。決して同じ服ばっかり持っているわけではないが、数が少ないので同じのを見る機会が多いのだろう。父には「服買うお金もないのか?」と心配されたこともある。「最近はなに作ってるの?」なんて食事内容を訊かれれば、「またそれ?◯◯君可哀想に。もっと色々作れるようになんなさい」とお説教をくらう。
いつも同じ。でもそれがいいのだ。両親のように、もともとマメで好奇心旺盛なタイプの人にはそれがわからないのだろうな、と思う。
(私は両親の子どものはずなのにおかしいな…笑)
みなさま良いクリスマスを!